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三菱ケミカルグループ、突然の社長交代劇の背景 社外出身外国人から社内出身日本人へ逆戻り

東洋経済オンライン / 2023年12月28日 7時0分

三菱ケミカルグループが発表した新社長人事は、現任とは一転した人選になった(記者撮影)

唐突感のある社長交代劇になった。

【写真】三菱ケミカルGの新社長に就く筑本学氏。石化事業の切り離し方針の仕切り直しも示唆

総合化学大手の三菱ケミカルグループ(以下、三菱ケミカルG)は2023年12月22日、ジョンマーク・ギルソン社長が退任し、副社長の筑本学氏が新社長に昇格する2024年4月1日付人事を発表した。

同社では、社長を含む執行役の任期は1年間。指名委員会が10月頃から成果や事業状況を議論して、翌年度(4月1日以降)の体制を決める。

指名委委員長で社外取締役の橋本孝之氏は、「この先数年間の業界の変化や当社の変革を考えたときに、新たなリーダーが必要であるという結論になった」と説明。ギルソン氏には12月18日に伝えたといい、「(ギルソン氏が)落胆の色を見せなかったと言えばウソになる」と様子も語った。

社長交代の発表会見にもかかわらず、ギルソン氏の姿はなかった。

大胆な改革を期待し社外から外国人を起用

ベルギー出身でフランスの化学メーカーCEO職にあったギルソン氏が、三菱ケミカルGの社長に就くことが発表されたのは2020年10月のこと。外国人経営者ならではの大胆な改革を期待しての起用だった。

2021年4月の就任後は、高付加価値事業に集中する筋肉質な企業への脱皮を目指してきた。2021年12月には、石油化学(以下、石化)事業などの切り離しの方針を発表。2023年度(2024年3月期)から3年間の中期経営計画内で改革を実行している最中でもあった。

だが、石化事業の分離は思うように進んでいなかったようだ。

そもそも石化事業は汎用品が多く低採算で、三菱ケミカルGが志向する高付加価値路線とはそぐわない。二酸化炭素の排出量も多く、脱炭素への対応の負担も大きい。

業界全体で見ても、石化事業の再編は共通課題だ。国内にあるエチレンプラント12基は、需要に対して多すぎることはコンセンサスになっている。どこかが縮小や撤退するか、統合するかして、国内の供給力のサイズダウンを進める必要がある。

そこで、石化事業からは手を引き、ヘルスケアや半導体関連、モビリティー関連など高付加価値事業に経営資源を集中する――。ギルソン社長のもと、三菱ケミカルGは思い切ったリストラ策を描いていた。

本来の予定では、2023年内に石化事業を他社との合弁会社にし、そこから3年以内に新規株式公開(IPO)することを目指してきた。しかし、年の瀬を迎えても何の発表もなかった。

事業環境の悪化が誤算?

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