「ポスト合弁時代」で岐路に立つ日本車メーカー ガソリン車時代に築いた地位ではもう戦えない
東洋経済オンライン / 2023年12月29日 12時10分
トヨタと中国第一汽車の合弁企業、一汽トヨタが11月3日付の文書で、2023年10~11月に実施する減産を「2024年2月までに延長する」との計画をディーラーに伝えた。
2023年の新車市場で、外資系合弁各社の新車販売が軒並み前年比マイナス成長となっている中、唯一プラス成長を維持している一汽トヨタが減産に踏み切ったことから、厳しい市場環境がうかがえる。
アフターコロナの中国では、電気自動車(BEV)を中心とする新エネルギー車(NEV)需要が増加する一方、ガソリン車の値下げ競争が一層激しくなっている。
特に高級車のブランド低下が顕著な日系メーカー
日系メーカーの中国販売台数は2023年に400万台を割り、ピークであった2020年比で約2割減少する見通しだ。中国市場で苦戦する日本勢は、踏みとどまることができるのか。中国メーカーとの合弁で展開する日系メーカーの行方が注目されている。
2023年1~11月の販売台数をみると、豊富なラインナップとハイブリッド車を強みとするトヨタは、値下げを実施したこともあり、2%減にとどまっている。
高級車市場ではSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の影響を受けており、全量を輸入販売するレクサスは「メイド・イン・ジャパン」の高品質と技術で差別化を実現したものの、前年同期比3%減となった。
一方、ホンダと日産はそれぞれ前年同期比13%減、25%減となった。ホンダの高級ブランド「アキュラ」の中国生産・販売が2023年に停止。日産の「インフィニティ」は年間販売台数が約6000台となる見通しで、ピークであった2017年の8分の1程度まで落ち込む。高級車の低迷から、両社のブランド力の低下がうかがえる。
かかるなか、日系各社は派遣従業員の削減による生産調整、ディーラーの在庫圧力の緩和、輸出拠点化など、市場環境に適した運営や構造改革に取り組んでいる。
トヨタは、2023年7月に広汽トヨタ(広州汽車との合弁)で約1000人の従業員を削減し、ホンダでも11月に広汽ホンダの従業員約900人を削減した。また、工場の稼働率を維持するため、中国製BEVを海外に輸出する動きも出てきている。
輸出を目論むもテスラや中国車に太刀打ちできず
東風ホンダは、2023年4月に新型BEV「e:NS1」、6月に「CR-V e:HEV」を発表し、ヨーロッパへも輸出。11月には、タイやアメリカに中国製電動車部品も輸出し始めた。また、東風日産は11月に新事業戦略を発表し、2025年から中国製電動車を輸出開始し、年間10万台を目指す。
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