「東京がすごかった時代」と既に始まっている衰退 富裕層のための再開発に哀愁が漂う
東洋経済オンライン / 2024年1月2日 19時0分
人生のほぼすべてを東京で過ごし、50歳を前にして佐賀県唐津市に移住した著述家の中川淳一郎氏。本稿は同氏の著作『日本をダサくした「空気」 怒りと希望の日本人論』より一部抜粋・再構成のうえ、かつて輝いていた東京を振り返りつつ、憂うべき未来について展望します。
当時の東京を示す現象
いったん地方に住んでみると、東京のすごさはよくわかる。何しろ、中央官庁はすべて揃い、かつて世界で絶大なる存在感を示した名だたる企業の本社が多数存在するのだ。
【写真を見る】歌舞伎町シネシティ広場からのぞむ「東急歌舞伎町タワー」(正面)
一時期世界で圧倒的存在感を示した「経済」の面において、東京は1980年代前半~1990年代前半はニューヨークと並ぶ世界一の都市だったと言っていいだろう。
1983年に「ビッグコミックスピリッツ」で連載が開始した漫画『美お
味いしんぼ』の初期のストーリーを読むと、当時の東京の雰囲気が見えてくる。
世界の名だたるレストランがこぞって東京に店舗を作り、そこに金持ち日本人が多数訪れる。そこに集う自称・食通はフォアグラがウマいだの「ここにあるもので一番高いものもってこい!」と言う。挙句の果てには「経済大国日本様様ですね」などと言う。
マドンナやマイケル・ジャクソンが東京ドームでツアーをすれば、連日満席に。当時最強だったボクシングヘビー級のマイク・タイソンの防衛戦まで東京ドームで行われる。
東京に行けばカネが稼げる、ということでイラン人が大挙して東京に住むようになった。「3K」と呼ばれる「きつい・汚い・危険」な仕事をやるためだ。1990年代前半は偽造テレフォンカードを売る者が現れたりもしたが、それはバブル崩壊の影響もあったことだろう。
とにかく当時の東京は華やかで、大学生カップルがクリスマスにはフレンチやイタリアンの高級店で食事をし、そのままシティホテルに泊まり、アツい一夜を過ごすなんてこともやっていた。
著名観光地にしても浅草、皇居、東京タワー、東京スカイツリーといった中核のものがありつつも、多くの駅とその周辺でさえ半日~1日は楽しめるような場所になっているのだ。谷中・根津・千駄木の「谷根千」、そこに上野を合わせれば十分な観光の一日を過ごせる。こんな都市は世界にもあまりない。
唐津に引っ越してから初期の頃は月1回、2022年からは2カ月に1回、東京で「ABEMA Prime」という報道番組に出るようになった。当然毎度、東京のデカさと人の多さに驚くが、すごいのが駅ごとに見事なまでの特色を持っている点である。海外へ行くと、一つの巨大な街で行くべき場所がガイドブックで紹介されているが、東京は一つひとつの駅の中に行くべき場所がいくつも存在するのだ。
この記事に関連するニュース
-
「23区マンション1億円」不動産バブルは調整が入るのか…住宅購入で絶対押さえたい"超重要ポイント"
プレジデントオンライン / 2024年5月29日 9時15分
-
マイホームがないと結婚できない…子どものために親が住宅ローンを肩代わりする中国の深刻な現状
プレジデントオンライン / 2024年5月23日 6時15分
-
商社勤務でも苦しい…23区「億ション」だらけの訳 高騰続くマンション価格が"適正"なカラクリ
東洋経済オンライン / 2024年5月21日 12時30分
-
富裕層は「人間関係の絶ち方」がうまい? Xユーザーを惹きつけてやまない「富裕層の暮らし」の実際
J-CASTニュース / 2024年5月13日 10時0分
-
天井知らずのマンション価格、その理由とは—— 誰が、何のために買っているのか?その実情は
東洋経済オンライン / 2024年5月10日 19時0分
ランキング
-
14市町で100超の事業所廃業=人口流出、遠い再建―能登地震5カ月・石川
時事通信 / 2024年6月1日 4時44分
-
2街宣に「うるさい」言われ激高、通行人暴行疑いで右翼団体構成員逮捕 付近では共産・田村委員長が講演予定
産経ニュース / 2024年6月1日 20時24分
-
3避難所生活、今も3000人超 まだ街にがれき 能登半島地震5カ月
毎日新聞 / 2024年6月1日 20時6分
-
4橋本元五輪相の告発状提出 安倍派裏金で大学教授
共同通信 / 2024年6月2日 0時30分
-
5日本維新の会、足立康史衆院議員を党員資格停止6か月の処分
読売新聞 / 2024年6月1日 20時35分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください