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「40系気動車が消える」JR氷見線・城端線の今後 LRTやBRT構想を経て、第三セクターに移管

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 6時30分

高岡駅交差のためのLRT化案だったが…

そこでJR西日本から、LRT化が提案される。小型軽量で高性能のLRTならば、駅構内をコンパクトな立体交差で横断することが可能というアイデアである。JR西日本と富山の関係ではすでに富山ライトレール(現富山地鉄富山港線)という大成功の例があるので、その流れもあった。加えて高岡の地でLRT化を論じるとすれば、だれでも万葉線も相乗りで直通させれば、中心市街地全体と新高岡駅がダイレクトに結ばれるという点を思いつく。

だが、LRT案は実現には至らない。富山ライトレールや万葉線の事例が身近なだけに、逆に一般にはLRTとは小さな電車が市街や近郊を結ぶイメージで固定されてしまい、路線距離が長いJR線の置き換えには適さないと評されたらしい。また、LRT化するなら氷見や城端まで電化し、駅も作り替える必要がある(本来のLRTの意味は、それが必須ではないのだが…)。そのコストも距離が長いと大きい。

そこでいっそのこと、BRTならばコストダウンが図れて市中との直通も容易に可能との案も俎上に上がる。ただしBRTは連接バスでも既存LRTの車両と輸送力面で大差なく、線路を専用道に作り替える工費と工期を要し、その間の代替交通の確保こそが大きな問題となる。

ところでもう一つ、高岡はじめ地元の根本的な希望としては、現状の不定時隔で1時間に1本程度の運転も、新幹線駅へのアプローチとしては改善したいところで、再三にわたりJR西日本に増便を求めてきた。それで金沢開業時に城端線4往復の増発が実現したが、これはむしろ異例で、管内に多くのローカル線を抱えるだけに、JR西日本としても積極的な施策は難しいだろう。

そのような状況で膠着し、高岡駅平面横断の協議にはあいの風とやま鉄道の参加が欠かせないとの話合いの中で急速に醸成されていったのが、地域の最重要課題として対処するには地域自らが引き受ける、との考えである。JRには投資のインセンティブが働かないが、地元会社ならばその価値を高められる。交差するダイヤを相互に調整するなら一体的にハンドリングできる組織でありたい。さらには両線から富山への直通の増強や、運賃体系の一体化も可能になり地域住民におけるメリットも大きい。とすると、あいの風とやま鉄道へ移管するのが最善、と判断された。

普通サイズの車両を入れて、毎時2本化も

こうした検討の結果、2023年3月に出された利便性・快適性向上策の中で、LRT化はせず普通鉄道サイズの新車を導入する方針が明らかにされた。7月には「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(2007年)による国の支援を得るため、城端線・氷見線再構築検討会が設置された。同法に基づいて経営が厳しい鉄道事業者の形態を再構築した事例は過去に11例あるが、自治体が先導する形で、ローカル線にしてはある程度の輸送量がある路線を強化し、地域を成長させるために再構築しようとするのは今回が初めてになる。

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