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コロナ感染急増の原因「JN.1」はどんなウイルスか 症状、重症化、後遺症についても医師が解説

東洋経済オンライン / 2024年2月20日 11時40分

新型コロナの感線拡大「10波」の原因ウイルスについて、医師が解説します(グラフィック:Graphs/PIXTA)

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染者が再び増えている。

【図で見る】世界保健機関は「JN.1」を「注目すべき変異株(VOI)」に認定した。VOIとは、3段階のうち要注意度で2番目にあたる

厚労省によれば、1月29日~2月4日の定点あたりの報告数は16.15件、前週の14.93件から約8.2%増えた。今年初めの週の6.9件からは、約2.3倍に増えている。

これは東京都の定点報告の結果とも一致するし、臨床医としての筆者の感覚とも合う。筆者は新宿駅ナカのクリニックで診察しているが、1月半ばから感染者が急増している。「10波」といわれているが、それが今も続いていると考えられる。

今年に入って急に増えた

感染者数は、無症状感染者や軽症者が病院を受診しないため、過小評価となる。感染の実態を評価するには、下水道のサーベイランスが有効だ。

札幌市が実施している下水サーベイランスによれば、昨年最終週をピークに減少に転じていた下水中の新型コロナRNA濃度は、1月15日~21日の週から増加に転じ、1月29日〜2月4日の週は前週の2倍以上に増えた。

過去3年間、新型コロナの冬場の流行は、1月半ばから2月初旬をピークとしていた。今冬も当初は例年通りの展開を示していたが、ここに来て状況は変わった。

JN.1とはどんなウイルスか

それは新たな変異株が出現したからだ。オミクロン株BA.2.86(通称ピロラ)から派生したもので、「JN.1」という。

昨年9月にカナダやフランス、シンガポール、スウェーデン、イギリス、アメリカなどで相次いで検出され、その後急拡大した。東京都のデータによると、1月8~14日の新規感染者の約6割は、JN.1によるものだ。

昨年12月、世界保健機関(WHO)は、JN.1を「注目すべき変異株(VOI)」に認定した。3段階のうちVOIは要注意度で2番目にあたる。

JN.1の主な症状の詳細については後述するが、発熱、倦怠感、鼻水、咳などで、これまでの従来株と変わらない。ただし、従来株と比較して免疫を回避しやすい。これがJN.1が急拡大した理由だ。

この点については、すでに複数の臨床研究が報告されている。今月、東京大学医科学研究所を中心とした研究チームが、イギリス『ランセット感染症学』誌で研究結果を発表した。

JN.1の親株であるBA.2.86は、2022年の流行の主流株で、従来型のXBBやBA.2と比べて30以上の変異があり、免疫を回避しやすい。JN.1はBA.2.86の変異に加え、さらにLeu455Serという変異と非スパイクタンパクに変異が加わり、免疫回避能力が高まっている。

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