「静かな人」の脳内で活発化しているすごい能力 実験で内向型の人の能力が科学的に証明された
東洋経済オンライン / 2024年3月5日 15時0分
「2人に1人いる」とも言われる「内向型」。近年、世界の研究機関で次々と、内向型の「秘めたる潜在能力」が科学的に証明されています。本稿では、「超外向型社会・アメリカ」の精神科医である大山栄作氏の著書『精神科医が教える「静かな人」のすごい力』より一部抜粋・編集のうえ、実は内向型であるビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、マーク・ザッカーバーグなどが持っている、内向型ゆえに優れている能力をご紹介します。
内向型が、人類の「予測不能な事態」に対処してきた
人類には予測不能な事態がたびたび訪れます。世界史の教科書を振り返っても、よく人類は存続していたなと思う出来事がいくつも記載されています。氷河期や疫病の流行、戦争、大規模災害……。最近では新型コロナウイルスが人類を脅かしていました。
こうした事態を乗り越えてきた要因が内向型の持つ「冷静さ」によるものだと私は考えています。
外向型の人間だけでは争いが絶えません。外向型は自己主張が強く、相手を納得させようとするだけでなく、突発的に反応しがちです。予測不能な事態に突発的に反応していては、事態が悪化したり、争いが泥沼化したりしかねません。
この内向型の「冷静沈着さ」によってつねに予測不能な事態に対処してきたのが人類の歴史といえるでしょう。
こうした外向型と内向型の違いは印象論にすぎないのではと感じている人もいるかもしれませんが、内向型が「冷静さ」に長けていることは、実験で証明されています。これは、内向型と外向型の脳の働きの違いが、どのような行動の違いをもたらすかを明らかにした実験です。
コーネル大学の研究者グループは内向型と外向型の被験者をランダムに2つにグループ分けしました。片方のグループには興奮剤を、もう片方のグループには偽薬を投与しました。
その後、参加者全員はランダムな風景ショットや森林のシーンなどの一連のビデオを視聴しました。3日後に、同じ検査が再度実行されました。
興奮剤を服用した外向的な人々は、興奮剤を使用していない状況でもビデオを見て興奮していました。一方、内向的な人々は、興奮剤を服用したかどうかに関係なく、ビデオの視聴時の状態に変化はありませんでした。内向的な人と外向的な人とでは、興奮の感情の処理方法が決定的に違ったのです。脳の構造の違いにより、内向的な人は興奮を求めず、「冷静さ」を示したのです。
「自分の内面」に注意を向ける
では、この「冷静さ」はどんな脳の構造の違いから来ているのでしょうか。科学的にも内向型と外向型では脳の働きが違うことが明らかになっています。
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