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高層ビル「台北101」が大地震でも無傷だった秘訣 5年間「世界一」を守ったビルの"制振・耐震設計"

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 19時30分

まずは床に散乱した電子機器やら書類やらを片付けないといけない。しかし、余震がひどい。午前中はとても勤務できる状態ではなく、繰り返しやってくる余震に怯えながら、ひたすら片付けに追われた。

花蓮で地震は日常茶飯事だったが

ほどなくして、震源地は台湾東部の花蓮県だとわかった。台湾東部はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの衝突によって生まれた陸地であり、花蓮県で最も有名な観光地である太魯閣(たろこ)峡谷は、2億年にわたる激しい地殻変動と侵食によって生まれた大峡谷だ。

大自然の雄大さを味わえる景勝地として人気がある一方で、マグニチュード6規模の地震がほぼ毎年発生している地震頻発地でもある。

友人が花蓮に住んでいるというスタッフが、安否を案じて早速連絡をとったところ、友人からは無事を知らせる一報と、「花蓮では震度4は日常茶飯事だけど、今回の地震はさすがに怖かった」との連絡があったという。

震源地が台湾東部と知り、台北市内の東部の様子が気になった。

筆者のオフィスは台北市の西部にあるが、台北市の東部には高層オフィスビルや百貨店、外資系ホテルなどが集中しており、台湾一の高さを誇るランドマークタワー「台北101」も市内東部にある。

台北市の西部にある13階のオフィスでも、午前中は仕事にならないほどの状態だったのだ。筆者のオフィスよりも震源地に近く、かつ地上からの高さもある台北101は、地震で大変なことになっているのではないだろうか。

世界最高水準の制振・耐震技術

結論からいうと、台北101は無事どころか「無傷」だった。むしろ「台北101で遭遇した本震より、自宅で経験した余震のほうが揺れを強く感じた」という声がインターネット上にあふれていた。

実際に台北101の35階に勤務しているスタッフに話を聞いたところ、「揺れはほとんど感じなかったし、ものが落ちてくることもなかった」とのことだった。

いったいなぜなのか。

高さ509.2メートルという台湾一の高層ビルで、世界で10番目の高さ(2024年現在)を誇る台北101は、2004年12月31日の竣工から2010年1月4日までの5年と5日間、「世界一の高層ビル」でもあった。当時の建築技術の粋を集めたこのビルは、世界最高水準の制振・耐震設計によって支えられている。

今回の地震では特に2つの設計が、台北101を救ったとされている。

1つは、耐震のために設置されている杭。地中深くに8本もの巨大な杭が打ち込まれ、1000年に一度の超巨大地震にも耐えられる構造になっている。

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