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投資ブームを煽る「誇張や断定」とどう付き合うか 後藤達也×田内学「お金と投資」対談【中編】

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 7時0分

そうすると、「本当にそうだ。乗り遅れるかもしれない」みたいな感じで、焦りが増してしまうのですけれど、でも、世の中の人が全員強気になって「買いだ、買いだ」となったころって、大体もうピークになっているんですよ。

後藤:なぜそうなるかと言うと、買いたい人、買わなきゃいけない人は、その段階になる前に買い切っちゃってるからです。追加で買う人が、もういなくなっちゃってるんですね。

そんなタイミングで、何か逆回転のショックが起こったら、売る人がものすごい勢いで出てくる。潜在的な売り需要が非常に強いので、気をつけたほうがいいですね。今はSNSというフィルターがあって、余計それが拡張されているような感じがあるので、気をつけたほうがいいです。

例えば、2021年は、GAFAが最強っぷりを発揮して、S&P500が連日最高値を更新しているような状況でした。すると、「日本で円預金している人なんて情弱だ」みたいに煽られて、「黙って積み立てているだけで、こんなに儲かるのに」といった発言が多く聞かれるようになりました。だいぶ極まってきている雰囲気が出ているなと思っていたら、やはりその後、2022年にはアメリカ株は下がりました。

今がバブルとは言わないですが、「流れに乗り遅れる」と焦ったりしないというのは大事ですね。長い目で少しずつ積み立てするのはいいと思いますが。

田内氏「金融商品は、普通の商品とは決定的に違う」

田内:価格は需給によって決まりますが、金融商品は、普通の商品とは決定的に違うところがあります。それは、買った人は「いつか売ること」を目的に買っているということです。

そのまま会社を保有することを目的に株を保有したいという人が増えるのだったらいいのですが、実際は、安く買って高く売ることを考えている人が大勢を占めています。

僕がゴールドマンに入社したのは2003年だったのですが、この年の6月にバリュー・アット・リスク・ショックと呼ばれる日本国債の暴落が起きました。

暴落が起きる前に、金利がとても低くなっており、日本国債の価格がどんどん高くなっている状況でした。保有していたらちょっとずつ儲かる、だからまた買うということが繰り返されていました。

通常だと値下がりしたときのリスクも念頭にはおいておきます。でも、みんなが買っている状況だと、値下がりすることもほとんどないから、どんどんと買う量が増えて……最終的に暴落してしまいました。まさに、新たに買う人がいなくなってしまっていたのです。

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