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いなば食品、大炎上でも「不買運動」が起きぬ理由 キリンはあれだけ盛り上がったが…どこに違いが?

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 18時10分

その点で言えば、いなばの「ライトツナ」から、はごろもフーズの「シーチキン」に乗り換えるという流れは考えられる。ただ、メーカー名で選ばれていないのか、はたまた一時期ほど広告展開されていないからか、そこまでの動きにはなっていないようだ。

そして3つめに考えられる理由が、看板である「CIAOちゅ〜る」が、いなば食品でなく、子会社の「いなばペットフード」による商品であることだ。

両社の採用情報サイトを見ると、その窓口は一本化されており、もともと非上場のオーナー企業であることから、企業としての一体感は強いものと思われるが、いちおう別法人となっていることが、ある種のクッション的な役割を担っている可能性がある。

いなば食品に今後できることは何か

どちらも海産物を原料に用いているが、企業のブランドイメージとしては、缶詰メインの「いなば食品」と、ちゅ〜るなどの「いなばペットフード」で、若干異なるのかもしれない。実際に一連の報道を受けて、「同じグループだったのか」「知らなかった」などと驚く声もめずらしくない。

ここまで書いてきたように、いなば食品の企業イメージは、日を追うごとにネガティブなものとなっている。また謝罪文を見るかぎり、同社は「シェアハウス(ボロ家)がしっかり改修されているか」が争点だと考えている節が見受けられ、組織体制も含めて「従業員の労働環境が確保されているか」を問うている文春報道や消費者との認識のギャップを感じさせる。

いなば食品に今後できることは何か。まずは消費者の疑念に沿った形での経緯説明、続いてガバナンス体制の見直し、そして企業イメージの再建だ。現時点で行うのは悪手でしかないが、中長期的な視点に立てば、いなばペットフードの社名を「CIAO」に変えるなどの打開策も考えられる。

いずれにせよ、早急になんらかの対応を取る必要があるだろう。現状ではさほど不買運動の機運が高まっていないが、消費者が納得いかなかったり、新たな不祥事が報じられたりすれば、上記の「3つの理由」を考慮してもなお、不買運動に値すると判断されるだろう。

その時になって後悔しても、もう手遅れだ。先にも述べたように、不買運動のキモは、企業イメージ低下による「間接的な売上減」にある。もし文春以外の各社が、同社のスキャンダルを報じるようになり、SNS上で「たたいていい企業」と判断されてしまえば、もはやバッシングは止められなくなる。

文春報道から、まもなく2週間。そのXデーは、すぐそこまで近づいているのかもしれない。

【画像】ボロ家と報じられたいなば食品の「一般職」向け新人社員寮、書き換えられたリリース…などの様子を見る(6枚)

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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