「企業は民主主義を損ねる」と批判されてきた理由 企業を「腐敗した存在」にしないための方策
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 10時30分
トーマス・ジェファーソンやカール・マルクスなど、多くの識者によって企業はつねに批判されつづけてきました。では、企業は民主主義を損なう腐敗した存在であって、不正行為をとどめる解決策はないのでしょうか?(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
企業は世界の動向につねに多大な影響を及ぼしてきた。そして企業は、誕生した当初から、共通善(社会全体にとってよいこと)の促進を目的とする組織だった。しかし今、企業はひたすら利益だけを追い求める集団であり、人間味などとは無縁のものであると考えている人は多い。では、企業はどこで、どのように変節してしまったのか? 今回、古代ローマの「ソキエタス」から、現代の「フェイスブック」まで、8つの企業の功罪を通して世界の成り立ち知る、『世界を変えた8つの企業』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
至るところで聞かれる企業への批判
今では企業への批判は至るところで聞かれる。企業は飽くなき利潤の追求によって、労働者を搾取している。企業は天然資源を使い果たし、環境を破壊している。
企業はずる賢いやり口で消費者を害し、価格を吊り上げている。このような企業の悪しき行為のリストはまだまだ続く。おかげで批評家たちは飯の種に困らない。
トーマス・ジェファーソンは次のように書いている。「金にものをいわせる企業という特権階級を、まだ生まれて間もない時期につぶしておくべきだった。今や政府に力競べを挑み、国の法律を無視するまでになっている」。
カール・マルクスは次のように書いた。企業は「創設者や投機師や名ばかりの経営者の姿をした、新しいタイプの寄生者である。企業の創設や、株式の発行や、株式の投機に関して、手練手管や不正のかぎりを尽くすためのすべてを備えた組織である」。
個々の企業に向けられた批判の言葉はさらに饒舌だ。
18世紀の英国の政治思想家エドマンド・バークは東インド会社のことを論じて、次のように断じた。「この唾棄すべき企業は、やがて、まるで毒蛇のように、自分を慈悲深く育んでくれた国に破滅をもたらすだろう」。
最近では、ジャーナリストのマット・タイビがゴールドマン・サックスを次のように評している。「まるで吸血鬼イカのごとく、人間に抱きついてきて、金の匂いのするものを見つけると、容赦なく、血を吸う漏斗を差し込む」。
しかし、最も古びない痛烈な批判といえるのは、お金の力を使って、民主主義の制度自体を損ねているという批判だろう。政治家に賄賂を贈り政府の事業を受注している、ロビイストを雇って世論を捻じ曲げている、選挙運動に協力した見返りに自社に都合のいい規制を導入させているといった批判だ。
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