目指すなら今?行政書士「外国人支援」の深い魅力 外国人コミュニティーの「縁の下の力持ち」に密着
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 11時40分
そして見事に資格を取得する。行政書士事務所での下積みは若手の仕事という風潮こそあったが、それなら自分でやってみようと45歳で開業を果たすのだ。40代からでもセカンドキャリアとして目指せる職業というのは、なんとも夢のある話だと思った。
もちろん、まずは地道な営業からのスタートだ。夫の地元である西葛西リトル・インディアで念願の外国人サポートを始めたものの、お客がいないのである。
「だからこのへんを歩いていてインド人を見かけると、名刺を配っていたんです。コンビニでもアルバイトの外国人に名刺を渡して。それですぐに仕事が来るというわけでもないですが、度胸はつきましたよね」
それに西葛西で開かれるホーリーやディワリーといったインドの祭りにも参加し、名前や顔を売り、多くのインド人にチラシを手渡した。また地域の行政書士会にもあいさつして仁義を通すことも忘れない。そのつてで仕事を紹介してもらうこともあった。
そして「スワガット・インディアンバザール」にもあいさつを、と行ってみたところ、ビネスさんはなんと恩田さんの宣伝ポスターを店内にドーンと張り出してくれたのだ。
「恩田さんはロイヤーになる前にも来てくれたことがあって、日本語の書類を読んでくれたり、いろいろ助けてくれたからね」
ビネスさんは言う。そのおかげもあって少しずつお客が増え、仕事は安定していった。いまではすっかりリトル・インディアの有名人で、毎日インド人たちに呼ばれて西葛西を駆けまわるが、忙しさの中でも時間をつくり、英語の勉強を続けている。
「英会話教室に通って、法律用語の翻訳のレッスンを受けたりしているんです」
法律関係の用語は英語のほうが理解してもらいやすい
西葛西のインド人たちはIT関連の駐在員が中心で、教育レベルは高い。だから日本語がわかるインド人もたくさんいるが、法律関係の用語になると英語のほうがずっと理解してもらいやすいのだ。
こうして努力を重ねてインド人コミュニティーに食い込んだ恩田さんのような存在は重宝されて仕事が集中し、てんてこまいだ。それだけ外国人案件を扱う行政書士がまだ少ないということでもある。つまり、外国人が急増しているいま、チャンスが広がっている業界ともいえるのだ。
東京都の場合、届出済行政書士は2836人(2024年4月現在。東京都行政書士会による)で、この数は増加している。それでもまだ需要はあるし、とくに地方では足りないという。外国人の中に飛び込んでいってコミュニケーションを楽しめる人なら、きっとうまくいくのではないだろうか。
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