ゲーセン「大量閉店」の背後にある本質的な変容 「千円でだらだら」若者の消費欲を満たせてない
東洋経済オンライン / 2024年5月1日 12時0分
学校の帰り道、ゲーセンに寄って、友達とだらだらした経験のある人はいるだろうか?
【画像】苦境のゲーセン業界。大手でも国内はジワジワ減少、久しぶりの海外出店も…実態をグラフなどで詳しく見る(5枚)
筆者も中高時代、そんな経験をした一人だ。音ゲーが好きな友人がいて、「maimai」というゲームをずっとやっているのを、横で見ていた。特に私はお金を使うわけではなく、そこで友人とだべりながら、だらっとしていた。たまにやるのはアーケードのシューティングゲームで、「ハウス・オブ・ザ・デッド」をよくやっていた気がする。
ただ、お金がたくさんあるわけではなかったから、2プレイぐらいして、それで帰る。思えば、1000円かからないぐらいで、だらっといられる、「せんべろ」ならぬ「せんだら」的な使い方をしていたなあ、と思う。
でも、そんな、ゲーセンは、もう戻ってこないのかもしれない。実は、ゲーセンの倒産が相次ぎ、業界全体が苦境に立たされているのだ。
なぜ、ゲーセンは苦しいのか? 筆者は、それを、まさに今ここで書いたような「だらだらする空間としてのゲーセン」という視点から考えてみたい。つまり、「せんだら」的魅力の減少、という観点だ。
先行き不安なゲームセンター業界
まず、前提として、今、ゲーセンがどのような状況にあるのかを見てみよう。
帝国データバンクが4月7日に発表したデータによれば、ゲームセンターの倒産が過去5年で最多となったという。2年連続で倒産数は増加している。ゲームセンターの店舗数自体、10年間で8000店近く減少しており、直近5年間では3割減だ。
【画像】苦境のゲーセン業界。大手でも国内はジワジワ減少、久しぶりの海外出店も…実態をグラフなどで詳しく見る(5枚)
一方で、倒産しているのは、中小のゲームセンターだ、という話もある。たしかに、昨今ではゲーセンと言えば、ショッピングモールなどに展開する大型チェーン店が浮かぶ。床面積はこちらのほうが大きいわけで、そういう意味では「二極化」と言ってもよさそうに感じられる。
実際、東洋経済オンラインの記事「ゲームセンターが『復活』を遂げた意外な背景」では、国内のアミューズメント市場規模がコロナ禍に入った2020年度に大きく落ち込んだが、その後回復し、各社の売上高が、コロナ禍以前の水準を上回るまでに復活していることを報じている。
ただ、こうした「大型チェーン」も、視点をずらしてみると、安易に順調とは言いがたい実態が見えてくる。
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