ポーランド政府が隠した、難民の「不都合な真実」 強制送還されるか、極寒の森の中を彷徨うか…
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 13時30分
今つくらなければならない、という思いに駆られました。わたしが近年つくってきた映画は、「ホロコースト」や、「ホロドモール」というスターリンがウクライナで行った犯罪行為など、20世紀に起きた人類に対する犯罪を描いてきたように思います。
1930年代、1940年代には人類に対する最悪の犯罪が起こりました(※そしてその前兆としてナチスに迫害されたユダヤ人難民を、ドイツ政府、ポーランド政府がともに排斥しあう、ということがあった)。その当時も、蛇の卵(卵のときから蛇の姿は透けて見えているという、不吉な予兆の例え)が成熟していくような感覚がありましたが、それと同じような感覚を今、自分はヒシヒシと感じているんです。
このままだと現代にも恐ろしいモンスターが生まれたり、あるいはヨーロッパのような、発展していると言われているような地域や国が、最も冷酷なプロパガンダを受け入れてしまうのではないかという懸念があります。
ですから手遅れになる前に、まだわれわれに選択肢があるうちに、現代のわれわれの状況を描かなければ、という思いがありました。
――この映画をつくるにあたり、政府や右派勢力からの妨害を避けるために、撮影も秘密裏に、24日間程度で急いで撮ったと聞きました。撮影中に危険性を感じることはなかったですか?
もともと政府がこの映画の製作に反対しているというのはわかっていたので、なるべくひっそりと撮影するよう進めていきました。
だから撮影を行ったのも実際の森ではありません。そもそも国境付近の森は撮影許可も下りないですし、国家所有の森林なので、足を踏み入れた途端に警察や警備隊がやってきて、何か言われるのは間違いなかった。
今回撮影した森は、ワルシャワに近い、いくつかの私有地の森でした。おっしゃる通り、24日間というかなりタイトなスケジュールで撮影をしたのも、そうした余計な注目を浴びないようにするためでした。
ただ最後のほうの国境の鉄条網のシーンはロケセットでつくったのですが、そのときは非常に不快な訪問者がやってきたり、非常に不快な記事を書かれたりはしました。彼らとそこまで深くやりあったわけではないので、無事に撮影を終えることはできたのですが、そういうことはありましたね。
ウクライナ侵攻に対して思うこと
――本作の物語の舞台は2021年の秋で、その翌年の2月にはロシアのウクライナ侵攻がありました。撮影もちょうどその頃に行われたということで、現実社会が地続きでつながっているという感覚があったのでは?
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