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「相続でモメる人」が知らないトラブル回避の基本 「晩婚」「再婚」の人が陥りがちな落とし穴

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 14時0分

私たちが担当した中でこんなケースがありました。成人した2人の子どもがいる男性が、晩年になってから再婚。自宅のある不動産は妻に遺したいと思っていました。ただし、妻も亡くなったら、その財産は妻のきょうだいなどではなくて自分の子どもに渡したいというご希望です。

そこで、不動産を長男に信託し、信託契約書には「自分が認知症になったり死んだりしたらこの財産を妻のために管理せよ。妻も亡くなったら子どもたちのものとする」と記しました。こうすることによって妻も死ぬまで安心して暮らせて、子どもたちも納得できます。なお、遺言では相続した遺産の使い道まで指示することはできません。

――結婚をする際に自分の財産や相続に関して不安がある場合は誰に相談すればいいのでしょうか。やはり司法書士さんですか?

そう言い切りたいところですが(笑)、私たち司法書士が携われるのは法的な書類をしっかり整えておくなどの予防法務に過ぎません。訴訟などの紛争が起きることが予想される場合は弁護士に相談すべきでしょう。また、どうやったら贈与税や相続税を最小限に抑えられるのかを考えるのは税理士が向いています。

司法書士は不動産登記や商業登記といった登記の専門家です。法務局に出す登記申請書類の作成と提出を業務として委託されて行うことができます。例えば、不動産を生前贈与して登記名義を変更する際の手数料はうちの場合はおよそ10万円です。それに関わる相談料はいただいていません。多くの司法書士が同じような価格設定だと思います。

――相続で家族がもめないコツがあれば教えてください。

まず、家族に隠し事をしないことです。隠し事が後から露見すると、みんなが疑心暗鬼に陥ってしまいます。まとまるものもまとまらなくなるのです。

そして、いずれ残される家族の感情も重視することです。遺言には財産の行き先を記す本文に付言事項を添えることができます。この付言事項で家族それぞれへのメッセージを伝えることは心理的に大きな効果があるので、笑顔の写真を入れたりするのもおすすめです。

ある寡黙な男性が亡くなった後、封をした遺言が出てきたことがありました。裁判所での検認手続きを経て封を開けて内容を読んだところ、妻と子どもたちへの溢れるような感謝の気持ちが付言事項で書かれていたのです。「普段はほとんどしゃべらなかったお父さんが……」とみんなで号泣。もちろん、遺言の本文に異議は出ませんでした。

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