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NHK大河と朝ドラで「知性派ヒロイン」描く"思惑" 「虎に翼」「光る君へ」の主人公には共通点がある

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 19時0分

山場がなくて大変ですね、と言われたって、そこを私達は逆手にとって勝負を賭けるしかない。やってみなくちゃわからないけれど、きっとおもしろい。平安オタクしかわからない、先の見えないおもしろさですが、毎週見たくなっちゃうようにがんばっています」

と答えていた(Yahoo!ニュースエキスパート「紫式部と藤原道長はどんな人? 大河ドラマ『光る君へ』脚本家・大石静はこう見る」より)。

家柄の良さが大前提で、さらに頭の良さと芸術の素養にプライオリティが置かれていた時代の物語。『枕草子』に書かれた「香炉峰の雪」のエピソードが描かれると予告されるやいなや、高校の教科書に載っていた、なじみのエピソードということでSNSでの反響は大きかった。

山場はないと言われていても、「大坂の陣」や「保元の乱」のような、なじみあるエピソードがあったのである。

「知性ある主人公」が目指すもの

「香炉峰の雪」とは、ある雪の日、定子(高畑充希)が「香炉峰の雪はいかがであろうか」と清少納言(ファーストサマーウイカ)に問いかけたところ、清少納言が中国の詩人・白居易の詩になぞらえ御簾をあげて雪を見せたという、機転を利かせた逸話だ。

殺し合う腕力よりも、教養の高さや機知が宮中で生きるうえでは重要であることを感じさせるものだ。

『光る君へ』では劇中で使用される和歌や漢詩の話題が毎回、SNSで俎上にのる。劇中でも登場人物が和歌の解釈を話し合っていて、互いに送り合う文の内容も、現在のLINEの素っ気なさとは雲泥の差の深い意味が込められたもので、日常から考察合戦が行われていたかのようである。

ただし家柄が良くないといかに教養があっても不遇で、それが下級貴族の主人公・まひろの家だ。まひろはその不遇を、知性と教養で打開していく。

まひろは父譲りの勉強好きで、この時代、女性には珍しく漢詩も読みこなした。その知性と教養がゆくゆく世界的文学『源氏物語』を生み出すわけだが、まひろはその知性を貧しい者たちにも分かち合おうとする。

文字の読めない貧しき者が騙されて搾取されることがないよう、文字という武器を得ることでさまざまな格差を打破しようとするのだ。

階級格差も男女差も、学びによってひっくり返る。まひろが影響を受けた藤原道綱母こと寧子(財前直見)の『蜻蛉日記』は初めて女性が残した日記文学で、妾という立場を書き記すことで、寧子は妾という立場の悔しさ寂しさを解消していった。

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