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「電通でも残業60%減」を実現したシンプルな原則 付け焼き刃の対策より「経営者の覚悟」が大切

東洋経済オンライン / 2024年5月8日 11時20分

(例)会議用の資料作成業務
工程① 議題に沿って情報を収集する……2時間
工程② 資料にまとめる内容を考える……2時間
工程③ パワーポイントで20枚のプレゼン資料を作成……3時間
工程④ 管理職への事前説明とそれによる手直し……1時間
工程⑤ 会議の参加者30名分の資料を印刷しホチキスで留めて会議室の机上に配布……1時間
※以上、トータル9時間
(124ページより)

このように各工程に何時間かかっているかを、業務ごとにリストアップしてもらうのである。ただし、業務をどのような工程に分解するかを社員個々人に任せると、てんでんばらばらになって集計すらできなくなってしまう。そこで業務を次のように分類し(あくまで一例だが)、それぞれについて会社としての統一の工程一覧を提示するといいようだ。

業務a:全社で広く行われるもの。たとえば「会議の資料作成」「経費の仮払い精算申請」
業務b:特定の部門内で広く行われる業務。たとえば広告制作部門における「テレビCM撮影」
業務c:部門を超えて、管理職や専門職が行う業務。たとえば「人事査定」
業務d:汎用性がない業務
(124ページより)

この業務a、b、cは会社側で一元的に工程の一覧表を作成し、それを配布して記入してもらうといいそうだ。

ただしこの工程一覧表をつくる際には、聞き取り調査を徹底する必要がある。そこで、各部門や各専門職の「主」のもとに経営者が足を運んで頭を下げたことが活きてくる。

「主」たちの全面的な協力があれば、多くの社員が納得する調査票ができあがり、記入もスムーズになる。しかも調査が会社からの押しつけではなく、その設計に「主」が参加しているとわかれば、現場の人々も調査に協力的になってくれるに違いない。

著者によれば、この調査票の作成には少なくとも2カ月ほどの時間が必要となるようだ。当然のことながら、そこは時短してはならないポイントだが、とはいえ2カ月以上かけるべきでもないという。調査票づくりに凝りすぎると、工程のレベルがどんどん細かく立っていき、調査の目的を見失ってしまうからだ。

つまりは調査する工程のレベルを細分化しすぎないことが重要で、そのためにも2カ月で終わらせるのが理想的だということである。

各業務工程を「棚卸し」する

調査票ができあがったら、次は「工程の棚卸し」、すなわち調査票への回答である。この回答作業には2営業日程度、場合によっては2週間程度の時間が必要とされるため、社員から「時短をしようと呼びかけておきながら、余計な仕事を増やすなんておかしいじゃないか」と不満や疑問が出るかもしれない。

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