「死にいたる事も」意外と知らない歯周病の"怖さ" なぜ歯周病菌は普通の歯磨きでは死なないのか
東洋経済オンライン / 2024年5月9日 8時30分
歯茎で起こる戦いでも、当然この炎症反応が起こります。
軽い歯肉炎であれば、通常の免疫反応で治癒していくので心配ありません。しかし、ここに、食生活の乱れ、ストレス、加齢が加わることによって、歯周病が優位に立ってしまい、皆さんの体はどんどんむしばまれていきます。
歯茎が腫れ、歯肉溝は歯周ポケットとなり、どんどんポケットが広がっていく。こうして、歯周病は進行していくのです。
歯周病の初期、中期だと、むずかゆいなど些細な違和感が出る程度で、自覚症状はありません。そのため、多くの人が知らぬ間に歯周病を進行させてしまうのです。
自覚なく進行を進めることから、歯周病には「静かなる殺し屋(サイレントキラー)」という異名が付けられているのですが、もう1つ、歯周病には困った特色があります。それは、歯周病を生み出す歯周病菌が、他の菌と比べると、段違いの強さを持っているということ。
歯周病菌の強さ。その秘密は、身に付けている強力な武器にあります。
歯周病菌が歯周ポケットから体内に入り込むと、体は当然、歯周病菌を異物だと認識します。そのため、炎症反応を起こすのですが、歯周病菌の持つ「莢膜(きょうまく)」と呼ばれる防御壁は、免疫細胞の攻撃から身を守るだけでなく、免疫細胞から敵として認識されづらくするというステルス性も持っているのです。
守りだけではありません。
歯周病菌は攻撃にも優れており、ジンジパインと呼ばれる酵素を作り出します。この酵素はタンパク質分解酵素で、料理にも応用されることも多いのですが、これが人体というタンパク質の塊の中に入ってしまうのですから大変です。
しかも、ジンジパインの酵素はかなり強力です。肉がタンパク質なら、それを形作る細胞だってタンパク質。つまり、免疫細胞そのものを攻撃することもできるのです。
さらに、攻撃性の高い一部の歯周病菌は人の血液が大好物。まるで吸血鬼のような性質を持つこの歯周病菌は、体内でさらに増殖していきます。
ただでさえ、攻撃力も防御力も高くてなかなか倒せないのに、拍車をかけるように増殖速度も上がる……。そのため、免疫細胞は終わることのない戦いを強いられることになるのです。
そして、戦っている間は、炎症反応が起こり続けます。
この長期に渡る炎症反応により、歯周病は歯肉炎だけに留まらず、数々の悪影響を及ぼし始めるのです……。
崩壊へのカウントダウン
歯周病と聞いて、最終的には歯茎がボロボロになって歯が抜け落ちると考える人も多いと思いますが、まさにそのとおりで、これは、歯周病による炎症の最終局面です。
この記事に関連するニュース
-
50〜60代で次々に抜け始める歯…面倒な 「部分入れ歯」の手入れ、サボることによって招く「恐ろしい事態」【歯科医師が警鐘】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月24日 16時0分
-
「歯茎が腫れている」人がやっているNG歯磨き3つ 歯磨き中に歯茎から出血したら「出し切る?」
東洋経済オンライン / 2024年5月23日 7時30分
-
歯を失う原因第一位の「歯周病」防ぐには ロッテが発信
食品新聞 / 2024年5月19日 16時3分
-
「歯周病を徹底排除」用意したい歯磨きグッズ7種 歯磨き粉より「天然塩」がおすすめのワケは?
東洋経済オンライン / 2024年5月15日 17時0分
-
30秒間つけておくだけで発がん物質の毒性が消失する…がん抑制効果がある「サラサラ唾液」を増やす方法
プレジデントオンライン / 2024年5月12日 10時15分
ランキング
-
1「餃子の王将」この2年で4度目の値上げを発表。それでもお客が離れない“2つの理由”
女子SPA! / 2024年6月1日 8時46分
-
2ガスト、大人のお子様ランチプレートがおつまみとして素晴らしすぎた<チェーン店ひとり酒>
日刊SPA! / 2024年6月2日 15時52分
-
3パン祭りならぬパン地獄…医師が警鐘「パンを食べると脳の神経伝達物質を阻害、記憶曖昧・情緒不安定化」
プレジデントオンライン / 2024年6月2日 8時15分
-
4月19万円の年金で貯蓄3000万円でも「贅沢はできない」67歳男性が語る年金暮らしのリアル
オールアバウト / 2024年6月1日 22時20分
-
5医学部に合格したのに、医師にすらなれずに退学…「頭がいいから医学部受験」を疑わなかった親子の末路
プレジデントオンライン / 2024年6月2日 9時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください