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「柏」「川越」戦略地域でも閉店強いられるヨーカ堂 行ってわかった、首都圏・駅前でも苦戦の理由

東洋経済オンライン / 2024年5月13日 8時0分

今年10月に閉店するイトーヨーカドー柏店(記者撮影)

セブン&アイ・ホールディングス傘下のスーパーで、グループ祖業のイトーヨーカ堂。2026年2月期を最終年度とする経営再建計画の中で、多店舗閉店と首都圏への集中を掲げている。

【リスト】北海道や東北など閉店が告知されている「イトーヨーカドー」24店舗

2024年2月末時点で123店舗残っている「イトーヨーカドー」は、今2025年2月期中に30店を閉鎖し、最終的に93店舗体制となる計画だ。

撤退が告知されている24店舗

すでに撤退が実施または告知されている店舗のリストは次のとおり。ほとんどが北海道や東北、信越など、「首都圏集中」戦略に伴うエリア撤退によるものだ。

しかし中には首都圏の乗降客数が多い駅前好立地でさえ、撤退を強いられている店舗がある。今回はそんな戦略地域にもかかわらず閉店となってしまった2店舗に焦点を当ててみたい。

最初に取り上げるのが千葉県柏市にある柏店だ。JR柏駅は常磐線の快速停車駅。1日の乗降客数は県内3位の10万人(2022年度)を超え、東武野田線も乗り入れる。そんな千葉県屈指の主要駅から徒歩3分前後にあるのが、地下1階地上7階建ての「イトーヨーカドー柏店」。今年10月、半世紀を超える歴史に幕を閉じる。

4月の平日夕方18時前、記者も実際に足を運んでみた。駅は帰宅客で混雑し始めており、駅前スーパーにとっては1日の中でも忙しくなる時間帯である。

まず、商店街側のドアから入ってすぐのエスカレーターを降り、地下1階の食品売り場に向かった。什器や内装の汚れ、天井の低さから多少のノスタルジックさは感じるものの、肝心のお客の数は他チェーンと遜色ない水準だった。客層は老若男女問わず、ファミリー客の姿も多い。

記者以外客が1人もいなかった肌着フロア

しかしフロアを上がるにつれ、状況は変わる。中でも深刻だったのが衣料品売り場だ。1階の服飾雑貨売り場には食品購入ついでに訪れる客が常時5人ほどいたものの、2階、3階と上がるごとに客は減り、「肌着のフロア」と書かれた4階には終始、記者以外1人も客がいなかった。

駅から徒歩3分、商店街に面する好立地の柏店はなぜ苦戦を強いられているのか。1つ挙げなくてはならないのは、リストラが後手に回っていたということだ。

ヨーカ堂の祖業でもある衣料品は、専門店やECの台頭で慢性的な赤字が続いており、昨年3月、ついに2025年度末までに直営販売からの完全撤退が公表された。それまでも中期経営計画のたびに直営衣料品売り場縮小やテナント化の方針が打ち出されていたが、柏店全8フロアのうち、3フロアを衣料品が占め、その多くが直営売り場であることを考えると、どこまで過去の方針が徹底されてきたかは疑問だ。

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