庶民は買えない!?マンション高騰は続くのか? 今後のインフレで日本の不動産はどうなるのか
東洋経済オンライン / 2024年5月17日 19時30分
新築マンションの高騰は、とどまるところを知りません。はたして現状の価格は庶民に手が届くものなのでしょうか? すでに一般人が買えない価格になってしまっているとしたら、マンション建設に狂奔するデベロッパーは、誰を相手に販売を仕掛けているのでしょうか? 新刊『なぜマンションは高騰しているのか』をもとに、業界に精通した牧野知弘さんにご説明いただきました。
高騰した理由
新築マンションが高騰しているのは、富裕層を中心とした需要が盛り上がっているからだけではありません。製造原価、つまり建設費の値上がりが止まらないことも大きな要因です。
国土交通省の「建設工事費デフレーター」によれば、2015年度基準(指数=100)で、2023年7月はマンションに相当するRC(鉄筋コンクリート造)住宅で124.5を示しています。2020年2月段階では108.0でしたから、コロナ以降に大幅に上昇したことがわかります。
私はいくつかの不動産開発計画に携わっていますが、現場感覚ではここ2~3年で3~4割程度は上がった印象を受けています。
建設費が近年、高騰している理由は主に5つあります。
1つ目が、建物を建設する際の建築資材の高騰です。マンションやオフィス建設に必要な鉄骨、住宅用の木材などは、世界的な建設需要の高まりを受けて逼迫しています。最近の大規模建物に使われる外装・内装材の多くは輸入品です。さらに、コロナ禍以降、世界的な金融緩和と、東アジアと東南アジアの経済発展により、建築資材需要が高まっています。世界的なインフレ傾向は、輸入材に頼る国内の建設費の値上がりに大きな影響を与えているのです。
2つ目が、ロシア・ウクライナ戦争などにともなうエネルギーコストの高騰です。原油価格の高騰は、輸送コストや電気代の上昇を招きます。エネルギーは、建築資材の製造や物流などすべての面に関係し、コストアップの要因となるのです。
3つ目が、世界的な半導体不足です。半導体はエアコン、照明装置、給湯器、床暖房などの設備に多く使われています。建物ができあがっても、設備が入らなければ、オーナーに引き渡しができません。設備系のコストアップも、全体の建築費の上昇に寄与しているのです。
ここまでは各国同様ですが、ここから先は日本固有の事情です。
4つ目が、円安です。先進国で日本だけが低金利政策という一人旅を続けていますが、内外金利差は為替安、すなわち円安を招き、その結果として輸入資材の価格には為替分が上乗せされます。資材の調達コストが上昇しているわけです。
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