1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

プーチン政権に激震!国防相はなぜ解任されたのか 12年間の盟友をクビにしたプーチンの本音は

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 8時0分

2019年7月、ロシア・サンクトペテルブルクで行われた海軍のパレードにプーチン大統領(右)と臨んだショイグ前国防相(中)。ショイグ氏は2024年5月、電撃的に解任された(写真・ 2019 Bloomberg Finance LP)

5期目をスタートさせたばかりのプーチン政権最上層部で政権史上、最大の「激震」が起きた。12年間国防相の地位にあったプーチン氏の側近の1人、セルゲイ・ショイグ氏が事実上更迭されるなど、大規模な入れ替えがあったのだ。

プーチン氏が仕掛けた上からの政変劇はまだ進行中で、今後のロシア情勢はまだ見通せない。水面下も含め、いったい何が起きているのか。今後プーチン政権はどこへ行くのか。その核心に迫ってみたい。

汚職で逮捕されたショイグ国防相の側近

2024年5月7日のプーチン氏の正式就任後、ロシア・ウォッチャーにとって最大の注目点はショイグ氏の処遇だった。その半月前に、ショイグ氏の片腕であり、「財布」とも呼ばれたチムール・イワノフ国防次官が突然「多額の賄賂を受け取った」容疑で逮捕されたからだ。

まさに青天の霹靂だった。ショイグ氏の解任や逮捕があるのではないか、という臆測が急浮上した。結局プーチン氏はショイグ氏を国防相から安全保障会議書記のポストに異動させるだけにとどめ、形式的には解任色を隠した。しかし、今回の一連の経緯をみれば、更迭であることは間違いない。

これまでも失政を理由に閣僚クラスを更迭するに際し、政権外に放り出さず、形式的に別の高官ポストを与えるのがプーチン流人事だった。政敵を作ることを回避するため、政権内に取り込み続ける巧妙なやり方だ。

ただ、ロシア政界にとって衝撃だったのは、「汚職」そのものではない。この種の高官の汚職が捜査当局によって表舞台で「摘発」されたことだ。

プーチン政権では閣僚らは「職務を果たしていれさえすれば金銭的な汚職や不正蓄財は罪に問わない」というのが暗黙のルールだったからだ。この逮捕は「ついに長い間のタブーが破られた」とも評された。

このタブー破りの背景に何があったのか。それは3年目に入った、ロシアのウクライナ侵攻作戦だ。

イワノフ氏はロシア省庁として最大の予算を得ている国防省の建設事業の最高責任者だった。ウクライナ領内のロシア占領地での住宅建設事業も統括していた。イワノフ氏の具体的容疑は不明だ。

しかし、基地や兵舎建設を企業に国家発注しながら実際には建設せず、事業費をショイグ氏周辺が懐に入れていたというスキームが横行していたと言われている。

プーチン政権が軍事費に大きく傾斜した苦しい国家予算のやり繰りに苦労している最中に、ショイグ氏グループが予算を食い物にしていたことになる。侵攻前なら、許されていたかもしれない。しかし今回、プーチン氏はさすがに激怒したと言われる。

実際には国家反逆罪を犯した?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください