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10両が主力の首都圏私鉄に「短い編成」が残る事情 「ホームの長さが足りない」以外にも理由はある

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 6時30分

東急東横線を走る東京メトロ車両の各駅停車元町・中華街行き。東横線の各駅停車は8両編成だ(編集部撮影)

首都圏の通勤路線では、10両編成やそれを上回る長さの電車が行き交っている。JR山手線は11両編成、中央線快速や中央・総武線各駅停車、京浜東北線、埼京線などは10両編成だ。

【写真を見る】「8CARS」のステッカーを貼った東急東横線の8両編成車両

都心に発着する私鉄の主要路線も同様で、例えば東急田園都市線や東武東上線の池袋発着列車はすべて10両編成だ。一方で、10両編成の列車が走る路線でも8両編成などのやや短い列車が交じって運行しているケースもある。ホームの前寄りや後ろ寄りで電車を待っていたら「短い列車」がやってきて目の前には停まらなかった……という経験がある人もいるのではないか。

利用者数が大幅に減る区間はともかく、都心寄りなら編成両数を統一したほうが効率がよさそうに思えるが、あえてそうしていない、そうできないのはなぜかを探ってみた。

ホームの長さは10両分あるが…

全列車が10両編成でもよさそうな主要路線ながら、8両編成が混在しているのが東急電鉄の東横線である。東急の大看板である東横線は、新横浜線や東京メトロ副都心線などに直通する大動脈として渋谷・横浜方面ともに終日利用者が多い。特急などは10両編成で運転しているものの、各駅停車はすべて8両編成である。

一般的に、列車の編成両数が制限される理由の1つとしてはホームの長さが足りないということがある。だが、東横線の駅のホームは、各駅停車のみの駅でも10両分の長さがあるように見える。実際のところはどうなのだろうか。

【写真】「8CARS」のステッカーを貼った東急東横線の8両編成車両、京王線の8両編成各駅停車、西武池袋線の8両編成各駅停車など(9枚)

東急電鉄によると、すべての駅で10両編成の列車が停車できるようにホーム有効長を確保しているが、各駅停車しか停車しない駅での延伸部は非常用の通路であって、緊急時の臨時停車などを想定しているという。これらの駅に10両編成を停車させるためには、ホームドアや信号装置などの設備増強工事が必要になるという。需要動向も理由にあり、各駅停車を含む全列車の10両編成化の計画はないという。残念ではあるが、しかたがない。

京王電鉄の京王線・相模原線も10両編成と8両編成が混在している。だが、両線に8両しか停車できない駅はない。利用者が多いだけに10両編成に統一してもよさそうだ。

そこで京王電鉄に、「運用の効率性を考えるとすべて10両編成でもいいのでは?」という疑問をぶつけてみると、利用状況(混雑具合)と車両運用(8両編成・10両編成)の検査周期を考慮しているとの返答があった。「細かな分析をしながらダイヤと車両の運用適正化を図っています」といい、混雑している時間帯や優等列車には10両編成の車両を優先して活用し、郊外区間での各駅停車では利用状況に合った8両編成を運用しているという。

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