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幻の旅客機計画「797」、復活なるか!? 苦境のボーイングに転機 可能性はゼロじゃない!

乗りものニュース / 2024年5月17日 7時42分

ボーイングが開発を進める旅客機。上が777X、下が737-10(画像:ボーイング)。

かつてボーイングではいわゆる「797」と呼ばれる新設計の旅客機「NMA」の開発を進めていました。中止となったこの計画ですが、今後再び動き出す可能性があるかもしれません。

「単通路で航続距離長い」がトレンドに

 かつてボーイングは、新たな設計を持つ旅客機「NMA(新中型旅客機)」の開発を計画していました。メディア関係者などから「ボーイング797」とも呼ばれた機体です。2024年現在「開発中止」となっているこの計画ですが、今後この計画が再び動き出す可能性も考えられそうです。

 現在の新型旅客機のトレンドのひとつが、一世代前の大型機並みの航続距離を持つ小中型ジェット旅客機です。たとえばボーイングのライバルであるエアバスは、航続180~220席のキャパシティながら8700km の航続距離を持つ「A321XLR」の実用化が迫っています。

 一方、ボーイングがかつて開発を進めていたNMAは2010年代に構想された、中型単通路機「757」と複通路機「767」の後継にあたります。航続距離7400km~9300km、座席数は220~270席を目指していたと記録されています。A321XLRの対抗馬としてはピッタリの存在です。

 しかし、新型コロナ(COVID-19)の世界的感染による経済混乱を受け、2020年に開発が打ち切られています。その時のCEOは、同じ年の1月に就任したカルフーン氏でした。

 しかし、カルフーンCEOは2024年1月に起きたアラスカ航空の事故による品質問題などにより、2024年末までに退任する意向を示しています。

 経営陣の刷新により社内プロジェクトに変化が起きるのは、どの企業も変わりありません。加えて、ボーイングには5年連続となった最終赤字からの脱却が、新CEOの下で真っ先に求められます。同時に、アラスカ航空機事故で落ちた技術力へ信頼回復が求められるのも間違いありません。

「2035年まで新型機開発はしない」方針から転換なるか

 ただし、販売へ攻勢をかけるにあたり、A321XLRへの対抗機種がなければ、100席以上の小型機から400席クラスの大型機までの「切れ目のない」機種展開に穴が開くことになります。A321XLRに唯一対抗できると思われるのは、アラスカ航空事故を起こした「737MAX」と同シリーズの737-10(航続距離6100km、188~230席)ですが、こちらは、市場にまだ投入されていません。

 このため、ボーイングが新経営陣の下で社内改革が進めることができれば、2025年以降、そう遠くない時期にNMAへ再びゴーサインが出る可能性はゼロとは言い切れないでしょう。カルフーン現CEOは2022年後半、20~30%の燃費向上が見込めない限り2035年頃まで新型機(NMA)の登場はない、と投資家に説明していましたが、今後こうした技術的な進展に目途が付けば、ゴーサインが出る確率はより高まると考えられます。

 反面、野心的な機体を狙えば、当然開発のリスクは大きくなります。現状、同社が最も直近で新規開発をした「787」では、リチウムイオンバッテリーなど新機軸を取り入れたために苦難がともいました。

 もし将来の「797」が開発されるとしたら、こうした予測されるトラブルを克服し、A321XLRを上回るセールスポイントへどのような新機軸を打ち出すかも、新経営陣の下で改めて意見の統一を図らなければなりません。

 それだけに、「NMA開発再開」のアナウンスまでには、超えなければならないハードルが多々あると思われます。しかし、難しい分、再びゴーサインが出たなら、それはボーイングが反転攻勢に立ち上がった合図といえるでしょう。そして、日本にとっては、767、777、787に続く生産分担獲得の機会になり得えます。それだけに、NMAの行方はまた関心を集めるかもしれないのです。

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