2023年の気象三大ニュース 気温の高さや台風など振り返り

ウェザーニュース

2023年も気象現象により社会的影響が大きくなった場面がありました。その中からウェザーニュースが選んだ3つのテーマについて振り返ります。

①高温　日本の年平均気温も過去最高

2023年は高温の様々な記録が更新された1年になりました。日本の年平均気温の偏差は+1.28℃（12/27時点の暫定値）と、これまでに最も高かった2020年の+0.65℃を大きく上回っています。

地球温暖化の進行に加えて、ラニーニャ現象からエルニーニョ現象に移り変わったことなど、海洋の変化の影響を大きく受けたとみられます。月別の気温を見ても、平年より低かったのは1月のみで、3月、7月、8月、9月は歴代最高気温を更新しました。

上から順に、北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美　左端が1月、右端が12月

特に象徴的だったのが夏の気温です。北日本や東日本は6〜8月の3か月にわたって平年より気温が高く、暑さの落ち着くタイミングがほとんどありませんでした。

7月後半からの高温はフィリピン付近で対流活動が活発になって、太平洋高気圧の張り出しが記録的に強まったこと、8月前半は台風6号や7号の北上で暖かな空気が継続的に流れ込んだ上、フェーン現象も発生したことが主な要因とみられます。

3か月の平均気温は153の気象官署等のうち半数以上の85地点で観測史上1位を更新。東京都心で年間の猛暑日、真夏日日数が過去最高になるなど、数多くの暑さの記録が誕生しました。

②台風の発生数は少ない一方、上陸しなかった台風で被害

2023年の台風発生数は17個にとどまり、1951年の統計開始以来、過去3番目の少なさとなりました。

特に9月以降の発生が少なく、統計史上最も少ない5個となっています。南シナ海からフィリピン方面に広がる「モンスーントラフ」と呼ばれる低圧部が平年より弱く、対流活動が不活発になったことが要因の一つとみられます。

このうち日本に上陸した台風は1つです。

◆台風7号が上陸
南鳥島近海で発生した台風7号は非常に強い勢力まで発達して小笠原諸島を通過。その後、北寄りに進路を変え、8月15日に和歌山県に上陸しました。台風に向かって吹き込む湿った空気により、東海や近畿、中国地方で大雨に見舞われ、鳥取県には一時、大雨特別警報が発表されました。消防庁によると台風7号の影響で亡くなった方はいませんでしたが、1000棟近い家屋が被害を受けました。

また、上陸しなかった台風でも大きな影響を与えたものがあります。

◆台風2号　梅雨の初めに大雨に
6月に接近した台風2号は沖縄付近を通過した後、本州の南の海上を東北東進しました。停滞する梅雨前線の活動が活発になって、西日本や東日本の太平洋側で大雨となり、和歌山県や愛知県、静岡県、埼玉県を中心に、多数の家屋が浸水しました。

◆台風13号　台風から離れた関東で大雨
9月の台風13号は東海沖を北上したものの、上陸前に勢力を弱めて熱帯低気圧に変わりました。ただ、台風の中心から北東に離れた所で雨雲が発達し、千葉県を中心に長時間にわたり雨が降り続いて、記録的な大雨となりました。千葉県茂原市では278.0mmという6時間降水量を観測しましたが、これは平年9月の月間降水量を上回る値となっています。

河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、房総半島を走るいすみ鉄道は線路に大きなダメージを受けて、12月になってようやく運転を再開しました。

③秋以降に西日本を中心に少雨

秋以降の台風の少なさは、西日本を中心とした少雨につながりました。残暑が厳しかったこともあり、秋雨前線の活動も例年ほどは活発にならず、西日本を中心に雨量が少なくなっています。

9〜11月の秋の期間の降水量は西日本の太平洋側で平年の半分以下にとどまり、大分や松山などで観測史上最も少ない記録を更新しました。

少雨の影響で西日本のダムは水位が低下し、一部の河川では今も取水制限が行われています。また、滋賀県の琵琶湖も水位が下がり、2005年以来18年ぶりに−0.7m台となりました。

例年、この時期に増える雪解け水も、西日本の山間部は雪が少ないことから、あまり期待ができません。29日の正午の水位は−0.77mとゆっくり低下を続けていて、年明けにも渇水対策本部の設置が検討される見通しです。