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眼鏡やコンタクトがなくても景色が見える! QDレーザ・菅原充が賭ける「究極の半導体レーザー」

財界オンライン / 2022年8月30日 18時30分

菅原充・QDレーザ社長

5Gや6G、自動運転車の普及にも欠かせない技術

 視力0・025の子供が十数年ぶりにお父さんの顔を見ることができた、不正乱視で目のピントが合わない人でも本が読めるようになった――。

 そんな魔法のような眼鏡型端末があるのをご存じだろうか。それが東証グロース上場・QDレーザが開発した眼鏡型端末『RETISSA Display』。これはレーザー光源を用いた映像を網膜に結像させて認識する装置(網膜投影デバイス)で、2018年に世界で初めて商品化。20年1月に国内医療機器製造販売承認を取得した、れっきとした医療機器である。

「人間の目はレンズが一つしかないので、ピントを合わせるのは真ん中の一つだけ。特に人間の網膜は曲がっているので端っこはピントが合わず、ボケている。しかし、これを使えば、網膜の端にくっきりとした映像を届けることができる。決して視力が改善されるわけではないが、乱視でも、老眼でも、近視でも見えるようになるのは確かだ」

 社長の菅原充氏はこう語る。

 この端末は、光の三原色である赤・緑・青のレーザーを光源とする。そのレーザービームを直径0・5㍉の太さにして信号を飛ばし、目の瞳孔を経由して、映像を網膜に直接投影。レーザーを目に直接あてても目や身体に問題はないそうで、臨床試験の結果、ロービジョン者と呼ばれ、眼鏡をかけても視力が「0・05以上、0・3未満」(世界保健機関の定義)の人が0・5~0・8程度まで視力を取り戻すことが証明され、世界から注目されているのだ。

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早期の黒字化が課題

 近年はスマートフォンや「5G」などの高速回線の普及により、ネットワーク上のデータのやり取りが増加。データセンターにおける電力消費量も世界的に増え続けている。

 そこで応用が期待されるのが、同社の量子ドットレーザー。これを使って、現在主流になっているサーバーの中の電気配線(銅配線)を光配線に変換することができれば、情報を処理する速度は100倍、電気代も100分の1で済むという。

「サーバーの中のシリコンチップ同士が電気回路ではなく、光で情報のやり取りをするようになると、コンピューター自体の情報処理能力が飛躍的に向上する。量子ドットレーザーは究極のレーザーと言われ、今後、5Gから6G、そして自動運転車の普及に欠かせない技術。来年には量産化が実現できそうで、大いに期待している」(菅原氏)

 同社の22年3月期の売上高は11億円、営業損失は9億円。製薬ベンチャーなどにありがちな、技術ありきの先行投資型の会社で、業績は赤字が続く。2021年に東証マザーズへ上場した同社だが、この時も業績が赤字だったため、東証審査はかなり時間がかかったという。このため、早期の黒字化が求められている。

「本当に苦労の連続でここまで来ることができた。それでも、昨年の上場を機に会社の信用もついたし、世間から認知されつつある。卵か、鶏かという話になってしまうが、来年くらいから量産化が進むと思うので、来年、再来年には黒字化したいと。当社は”人の可能性を照らせ”というのが、コーポレートメッセージ。これからもテクノロジーを通じて、人間や社会の進化に貢献したい」(菅原氏)

 同社の技術が、世界の未来を照らすことはできるか。何度壁にぶち当たろうとも、東北人らしい粘りで、様々な障壁を乗り越えようとする菅原氏である。

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