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「ネット通販での不正被害を防げ!」『かっこ』が手掛ける不正検知サービスとは?

財界オンライン / 2021年9月13日 18時0分

岩井裕之・かっこ社長

国内2万サイト超に導入

「上場によって、不正検知サービスというビジネスがあることを知ってもらいたかったし、会社に信用力を上げたいという考えもあった。これまで技術力では負けていないと思っても、大企業に名前負けして最終契約につながらない面もあったが、上場を機に信用力は着実に上がってきていると思う」

 こう語るのは、かっこ社長の岩井裕之氏。

 2020年12月に東証マザーズへ上場した同社。EC(電子商取引)決済やチケット予約、悪質転売などにおける代金未払いなどの不正注文を検知するサービスを手掛けて、成長している。

 経済産業省の調査によると、2020年のBtoC(国内消費者向け)EC市場は19・3兆円、BtoB(企業間)EC市場は334・9兆円に拡大しており、ECは国民の生活に欠かせないものになっている。

 一方でEC市場の成長に比例して、クレジットカードの不正被害が拡大。不正対策への社会的な要請が高まっている。特に、昨今のコロナ禍で巣ごもり需要を狙った不正が増加しており、日本クレジット協会の調査で、クレジットカードの不正利用被害額は2020年に253億円。EC事業者にとって不正対策は喫緊の課題だ。



 EC事業者向けに不正注文検知サービス『O-PLUX(オープラックス)』を手掛けるのが同社。

同サービスを導入したEC事業者は、ユーザーから商品の注文が来ると、氏名や住所、どんな商品をいくらで購入したかなどのデータを『O-PLUX』に連携して、過去に不正がなかったかを照会。

 『O-PLUX』のシステムが、一つのパソコン端末から複数の名前で注文が来るとか、数秒前に北海道の人の名義で注文が来たのに、今度は沖縄の人の名義で注文が来るなどの怪しげなデータを分析することによって、きちんとした取引か、怪しい取引かを瞬時に分析していく。

 この解析時間はわずか0・5~1秒。岩井氏曰く、怪しい取引か否かを判別する精度は「現在90%超」と、不正取引の9割を未然に防いでいる。今後はできるだけ100%に近づけるための工夫が続く。

 最近多いのが、転売を目的としたフィギュアなどの取引。悪人が他人のクレジットカード情報を不正に入手し、その情報を元に商品を購入する。商品は自分の手元に届くが、決済は他人のカードから引き落とされるので、不正利用者はお金を払わずに済む。しかも、その後、不正に取得した商品を転売することで差額分を取得していく。こうした事例が増えているそうだ。

「フィギュアは転売価値が高く、最近はコロナで日本に来ることができない外国のコレクターなどからの需要も多い。それだけに不正注文が多いので、不正対策への需要はなくならない。ライブなどのチケットもかつてはリアルのダフ屋がいたが、最近はネット上のダフ屋が横行している。不正の手口も年々進化していくので、当社の役割も大きいと思う」(岩井氏)

『O-PLUX』は、すでにショッピングモールや健康食品、アパレル、ホームセンター、ホビーなど、幅広いジャンルのECサイトで活用。国内2万サイト超に導入されており、実績はナンバーワン。不正注文被害を未然に防ぐことで、ECの安全なインフラ構築に貢献している。

「日本は失われた30年などと言われているが、これから世の中がどんどんグローバル化していく中で、日本の存在感が低下するのは、日本人として悔しい。当社のビッグデータとアルゴリズムを活用することで、不正リスクを低減し、生産性を向上することができれば、もっと企業がリスクを恐れずにチャレンジできるし、結果として日本が復活できるのではないか。微力ながら、当社もデータの力で日本の活性化に貢献したい」と語る岩井氏。

 EC決済に関わる不正被害をいかに食い止めるか。岩井氏の挑戦はこれからも続く。

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