わずか6900年前にできたクレーター、インドで発見 NASA
財経新聞 / 2024年5月8日 9時42分
インド北西部カッチ地区にある直径約1.8kmの円形のくぼ地は隕石クレーターの可能性があることから、長い間科学者の間で興味を引く存在となっていた。NASAは、このくぼ地がわずか6900年前に形成された隕石クレーターであることを、明らかにした。
従来知られていた最も最近にできた隕石クレーターは、中国の依蘭クレーター(直径1.85km)で、約5万年前の隕石衝突によってできたとされている。また有名な米国のアリゾナにあるバリンジャー隕石孔(直径1.2km)も、それとほぼ同年代に形成されたと考えられているが、今回年代特定されたインドの隕石孔は、それらの記録を大幅に更新するものだ。
今回話題となったインドの隕石孔の最も深い部分には、一時的に塩水湖が形成されており、乾季を利用してそこからサンプルを収集。それを分析したところ、通常地球では見られない鉱物がいくつか見つかったという。
それらは超高温高圧下でなければ形成されないもので、まさに隕石衝突があったことを物語っていた。さらにサンプルには、通常では地球表面では検出されない高濃度のイリジウムも見出されている。最終的に塩水湖の湖底堆積物に含まれる植物の残骸を放射性炭素年代測定した結果、この隕石衝突が約6900年前に起きたことが判明した。
浸食や風化あるいは地殻変動がほとんどない月面では、隕石衝突クレーターは無数にある。だが地球上では、隕石衝突クレーターができたとしても、浸食や風化、地殻変動の影響でその痕跡が消し去られてしまうケースが多く、現在確認できている隕石クレーターはたった200個程度しかない。
今回話題となったインドの隕石孔は直径1.8kmもあり、おそらく直径100mクラスの巨大隕石が地球に衝突したのは間違い。隕石衝突が起こった当時、地球のかなり広い範囲でその影響を受けたはずだ。だが人類最初の文字が確認されたのは、今から5400年前の楔形文字で、残念ながら6900年前に起こったこの大事件を文字に残すことができた人は、いなかったに違いない。
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