Infoseek 楽天

女優:山村美智、「『オレたちひょうきん族』のイメージが消えない時代があった」

Entame Plex 2014年12月18日 14時48分

15歳にして治療が難しい病魔に襲われ、絶望感に打ちひしがれながらも、その病と懸命に闘う前向きな主人公の少女を描く映画『ゆめはるか』が、12月13日に全国ロードショーとなった。病に向き合う人々の現実や、生きたいと願う人々の明日への希望を描いた本作で、主人公・遥を支える母親役を、元フジテレビアナウンサーで、現在は女優として活躍の場を広げている山村美智が好演。ちょっとだけ昔話を交えながら、難病というテーマを扱う本作のこと、女優業という仕事のことなど、色々と話をうかがいました。

――難病という難しいテーマの作品です。題材をどのように受け止めて参加しましたか?
「実は私自身、幼少期は体が弱くて、何度か入院をしたこともあります。実際、母が冷酷な医者に食ってかかる場面も何度か見たことがあり、そういう経験を経ているので、どんなに母親が娘を想い、どう行動に出るかは、よくわかっていました。病気の子を愛おしむ母親の気持ですね。とても辛く苦しいシーンがありますが、優しい遥役の吉本実憂ちゃんに救われると思います。これが、彼女の映画第一歩だったので、立ち会えて幸せでした」



――その遥役・吉本実憂さんは、映画初主演とは思えないほどの存在感と透明感ですよね!
「その通りですね。その上、お腹すいた、寒い、眠いなど、一切言わない。お腹すいた、くらいは言ったかな(笑)。不平不満を言わず、体だけは自信があるって、学校では体育が得意だそうで元気いっぱい! その一方で物静か。仕事に対する集中力がすばらしいと思いました。17歳、若いのに頑張っているなあと思いますね。同年代の頃、私は女優にはなっていなかったけれど、あの頃の私だったら無理(笑)。偉いです」



――ところで、先日も出演作『いつかの、玄関たちと、』が公開され、女優として大活躍中ですが、ある世代では今でも「初代ひょうきんアナウンサー」のアイドルというイメージが(笑)。
「実はその前に『東京キッドブラザース』という劇団にいたので、本当は女優が本分。だからアナウンサー入社は、仮の姿、寄り道なんですよね(笑)。当時の友人からは、お前にアナウンサーができるのかって心配されたくらい。 でも、退社後、どんな舞台に出ようが何しようが『オレたちひょうきん族』のイメージが消えない時代がありました。でもね、今の人は『ひょうきん族』のことをまったく知らない! 時代も変わりましたよね(笑)」

――超多忙そうだった当時と比べ、女優業を軸にする現在と充実度の違いはありますか?
「フジテレビを辞めた後、どれだけ組織の存在が大きかったかを痛感しましたね。役者は収入も不安定ですし。でも辞めてなかったら、自分の書いた二人芝居を英訳して、NYのオフ・ブロードウェイで上演することもなかったわけです(笑)。だから、苦しいこと、つまらないことがあっても、すべて必要なことだと思うようになりました。それはこの世界だけでなく、どなたの人生でも同じことですよね。“いまある自分こそが、正しい”と」



――最後になりますが、女優業をはじめ、日々の仕事で、気をつけていることは何ですか?
「周囲の人たちの力も引き出してあげることを考えていますね。自分の力はもちろん出して、 役柄に没頭することは基本中の基本。それプラス、周りの人たちの魅力をどれだけ引っ張り出せるかを考える。それは本番だけではなく控え室でも。特に、こういう家族の映画の場合、私はいつでも母親でいるわけで、その子が頑張っていける環境を作ってあげたいなと。でも、きっとこれって、 アナウンサー時代に培った素養かもしれないですね。アナウンサーは、ゲストやメインMCを立てる役割も担うので。私、先ほどアナウンサーを寄り道と言いましたが、実は、必要な寄り道だったのかもしれませんね(笑)」

映画『ゆめはるか』は、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開中!

(C) 2014「ゆめはるか」製作委員会
取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

この記事の関連ニュース