予選落ちで異例のリモート会見
女子ゴルフの竹田麗央(21)が10日、初の日本ツアー年間女王に輝いた。ポイントランキングで2位につけていた山下美夢有(23)が同日の「伊藤園レディス」(千葉)で4位タイに終わり、残り2試合で逆転される可能性がなくなった。
21歳222日で誕生した新女王である。山下、上田桃子に次ぐ3番目のスピード。主役は今大会は予選落ちし、帰郷先の熊本からのリモート会見になった。「すみません、予選落ちしてしまって」と軽く懺悔したが、喜びは隠せなかった。「シーズンが始まったとき、年間女王なんて想像できなかった。びっくりですし、うれしい」
悔しさが竹田を奮い立たせた。3月「ヤマハレディスオープン葛城」(静岡)で、首位で迎えた最終日に自ら崩れてしまった。「自分の足りないものを見つけた」と弱点であるアプローチなどショートゲームを徹底的に練習。結果に表れた。
4月「KTTバンテリンレディス」(熊本)でツアー初勝利を挙げると、「自分にもできる。自信がついた」と弾みを付けて翌週「フジサンケイレディス」で2週連続V。「日本女子プロ選手権」「日本女子オープン」と国内4大大会の2冠に輝いた。2週前の米ツアー「TOTOジャパンクラシック」(滋賀)も制し、初優勝から年間8勝。新女王は強かった。
データも強さを証明する。武器であるドライバーの平均飛距離は262・72ヤード、パーオン率は77・39でいずれもトップ。飛んで、グリーンをきっちり捉える安定性がある。バーディーかそれより良いスコアが占める割合を示すパーブレーク率は24・27%で1位、60台のラウンド回数も50回と1位。パーセーブ率90・87%は2位、1ラウンドの平均バーディー数4・25個は3位と、どの部門も上位を占める。
「TOTO」優勝で出場権を得た米ツアーで来年はデビューする。「すごく楽しみな1年です。不安もあるけど、日本では経験できないことができる」と胸をときめかせた。そういえば、「TOTO」で竹田にプレーオフで敗れた米ツアー2勝のマリナ・アレックス(34)=米国=はこう言った。「彼女の飛距離だけでなく技術も含めて、すぐに米国でも通用する」と。〝世界のRIO TAKEDA〟になる日も近い。 (清水満)