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日光で日泰夫婦が営むゲストハウスを訪れる外国人客はどんな人たちなのか? 聞いてみた

Global News Asia 2016年12月10日 9時0分

 2016年12月10日、日本を代表する観光地である栃木県の日光市は、今年、外国人観光客が東日本大震災前の水準まで回復する見込みだ。日本全体の訪日外国人が震災前の861万2000人(2010年)の2.5倍ほどの2000万人を超えていることを考えると、回復が遅れたことが分かるが、日光は確実に活気づいている。

 栃木県の統計によると昨年、日光市に1泊以上滞在した外国人は、7万295人(前年比16.9%増)で、国や地域別の内訳は、台湾人1万8659人(全体比26.5%)、タイ人6419人(9.13%)、中国人4944人(7.03%)、アメリカ人4794人(6.82%)、香港人4408人(6.27%)となっており、他にも韓国人3635人、フランス人2462人、シンガポール人2287人、イギリス人2073人などとなる。

 そんな日光を訪れる外国人が利用する宿泊施設に『ステイ日光ゲストハウス』がある。このゲストハウスは、日泰の夫婦が切り盛りしているため外国人客が多い。

 同ゲストハウス代表の常木さんは、タイに8年住んだ経験があり、そのときにタイ人の奥さんと知り合い結婚。その後、もっと自然の中で人と関わる仕事がしたいという思いが強くなり、昨今、訪日外国人が増えていることから外国人向けのビジネスへ活路を見出し、帰国して2015年6月にゲストハウスをオープンさせた。

 常木さんは、大学卒業後、オーストラリアへ留学し、都内で3年ほど働き、東南アジアを3か月の予定で旅したときにタイの魅力にハマり現地採用として就職、後に貿易会社を起業したという。

 「たまにバンコクの喧騒が懐かしくなりますが、自然豊かで平和な日本はいいなと思っています。タイからのお客さまの中には、日光は、緑にあふれ、夜中も安全なのでとても平和だなと感じると言ってくれています」(常木さん)

 常木さんによると、外国人でもそれぞれの特徴や違いがあると話す。

 「当ゲストハウスのお客さまは、台湾、タイ、フランス、スペイン、ドイツ、オーストラリアの順でご宿泊いただいています。台湾のお客さまは、紅葉の季節10月、11月に多く、タイのお客さまは、夏は少なく雪の季節に多いです。フランスやスペイン、ドイツのお客さまは夏に多く来られています。ドイツは夏休みが長いらしく長期間滞在される方もいます。オーストラリアのお客さまは、季節を問わず来られています」

 観光目的も異なっているようで、台湾やタイなどのアジアからの客は、景色や日光東照宮など著名な神社仏閣での写真撮影に熱中し、欧州からの客は、中禅寺湖や戦場ヶ原などへのピクニックなど自然探索を楽しむような行動派が多い。本格的な登山グッズを持参してくる人も少なくないという。

 そもそも日光は、日本最古のリゾートホテルと呼ばれる「金谷カテッジイン」(金谷ホテル前身)が明治6年(1873)に武家屋敷を改装して外国人向けホテルとなったことから日光の外国人宿泊の歴史が始まる。金谷ホテルには、開業を助言したヘボン博士(明治学院大学創始者)やイザベラ・バード(イギリスの女性旅行家)、アインシュタイン、ヘレン・ケラーも宿泊したことで知られる歴史あるホテルだ。

 中禅寺湖周辺には今も残る大正期のフランスやイタリア大使館の別荘が並ぶなど日光は古くからリゾート地として欧州人から愛されていた。

 「ヨーロッパのお客さまの中でも特にフランスのお客さまは日本通が多く、歴史や習慣、日本食などをよく調べられており和食好きで日本文化を好まれている人が多いと感じます」(同)

 タイ人客はタイでは経験できない寒さを楽しみにしてくるといい、現在、平日の日光は日本人よりも外国人の方が多く感じるくらいだ。

 また、外国人客は圧倒的に東武鉄道ではなく、JRを利用して日光へ来るという。その理由は、外国人観光客が購入できるJRの急行や特急、さらには新幹線(のぞみ、みずほ除く)も乗り放題になる「ジャパン・レール・パス」を利用しているためだ。

 日光を訪れる外国人客は、日光だけではなく、東京、日光、軽井沢、松本、金沢などを巡って楽しむ人が多いそうだ。

【執筆 : 我妻伊都】

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