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【インド】電子マネー利用者急速に増加、電子決済革命が進行中ーHSBC投信

Global News Asia 2017年7月31日 15時7分

 2017年7月27日、HSBC投信経済レポートによると、インドでは、電子マネーの利用者が急速に増えている。

(レポート)キャッシュレス社会を目指すインド、電子決済革命が進行中

 インドは、2022年までに、携帯電話、スマートフォン、インターネットの利用者数が中国に次いで世界第二位になると予想されている。現在は、電子決済や電子商取引の普及・拡大を加速させるべき時期と言える。しかし、インドの現金決済比率はなお80%程度と、先進国の20〜25%、中国の50%と比べ依然高く、「キャッシュレス経済」とは程遠いのが現状である。スマートフォン、インターネットの低い普及率や比較的高い電子決済の手数料も、キャッシュレス化の障害となっている。

 こうした中、インド政府は、インド準備銀行(中央銀行)による指導と民間の技術協力を得て、電子決済の普及に懸命に取り組んでいる。

 政府は、小売業の決済システムを統括するインド決済公社(NPCI)を約10年前に設立した。以来、NPCIは、即時支払サービス「IMPS」、デビットカード・サービス「Rupay」、統合決済インターフェース「UPI」、スマートフォン用電子決済アプリ「BHIM」など、即時決済サービスを次々と開発・導入し、デジタル決済革命を起こしつつある。

 電子決済における障害については、スマートフォンの低普及率に対応すべく、NPCIはインターネットに接続できない携帯電話での即時決済システムを開発するなどの革新的なソリューションを開発している。

 アドハー(国民総背番号制)対応決済システム(AEPS)は、国民ID番号と銀行口座を対応させて決済できる画期的なシステムであり、今後、電子決済を飛躍的に拡大させる起爆剤になると見られる。利用者はスマートフォンを持たなくても、生体認証端末にID番号を入力し、指紋と虹彩をスキャンすれば、銀行口座引き落としによる決済が可能となる。

 また、電子決済の普及を妨げている要因に、小売業者側のPOS(販売時点情報管理)端末や非接触型カードリーダーの不備・不足がある。NPCIはこの問題に対応すべく、QRコードの技術開発を行い、買い手がスマートフォンでQRコードをスキャンして決済することが可能となっている。

 昨年11月の政府による高額紙幣廃止は、電子決済の利用を大きく拡大させた。NPCIは高額紙幣廃止後、スマートフォン用電子決済アプリ「BHIM」を導入した。BHIMを利用すると、スマートフォンを使って、銀行口座の引き落としや送金が即時可能となる。BHIMの加入者は2017年6月時点で1,600万人、政府は2018年3月までに4億人の加入を目指している。

 一方、インドの電子決済市場に海外勢も注目しており、中国のアリババ・グループは、インドのオンライン決済サービス大手Paytmに出資、米国のフェイスブックやグーグルも統合決済インターフェース「UPI」を利用した決済市場への参入を企てている。

 インドでは、デジタル決済革命が起こりつつある。同国の人口規模、経済成長ポテンシャル、また政府の電子決済普及に向けた積極的取り組みから見て、これは注目すべき潮流と言える。
【編集 : AS】

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