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【海外発!Breaking News】米ウィスコンシン州、法改正で乳幼児にまで狩猟免許証を発行

TechinsightJapan 2017年12月4日 13時44分

歴史的にも狩猟が盛んなアメリカでは、経験豊富な大人がしっかりと監督、指導することを条件に未成年者の狩猟を許している州が多い。とはいえ都会の拳銃所有者は増えていても、森林に入って狩猟を楽しむ人口は確実に減ってきているとのこと。このウィスコンシン州の新たな取り組みは果たして吉と出るか凶と出るか…。全米の銃規制派と同推進派がともに注目しているもようだ。

ウィスコンシン州は先月13日、狩猟に関する法について一部を改正した。「10歳以上と定められていたメンタード・ユース・ハンティング(Mentored Youth Hunting)許可証取得の最低年齢制限を撤廃し、より幼い者の狩猟を許可する」との改正案にスコット・ウォーカー州知事が署名したものである。「全米ライフル協会」は当然ながら州知事のその判断を称えているが、10歳未満の子どもに銃を持つことの責任の重さがどれほど理解できるものか疑問を口にする者も多いようだ。

ウィスコンシン州の州都マディソンにある「自然資源省(Department of Natural Resources 略称:DNR)」は、これを受けてさっそく児童・幼児に狩猟許可証を発行していたもよう。年齢制限を撤廃した指導者付き狩猟許可証“メンタード・ハント・ライセンス(mentored hunt licenses)”が10歳未満の希望者にも実際にどれほど発行されたのか、DNRは26日現在の集計データ1,814件の過半数が10歳未満であることを明らかにした。「9歳児が最も多く1,011件、5歳未満の幼児に52件、10件は1歳未満の乳児に発行された」と発表している。

大自然と触れあうなかで野生動物の保護を学び、生きる者として命を強く意識しながら楽しむ狩猟。そして自然の生態系を脅かしたり里に出て獣害を起こす動物がいれば、その駆除のためにもハンターは育成し続けなければならない。しかしある研究によれば、10歳までに始めなければそれ以後に若者が狩猟に興味を持つことはあまりないとのこと。多くの州で未成年者からの狩猟参加を認め、狩猟の技能レッスンを開催しているのはそのためである。

ペンシルベニア州を例に挙げると、希望者はメンタード・ユース・ハンティング許可証を2.90ドルで購入する。11歳以下ならリス、ウサギ、ハト、ウッドチャック、コヨーテなどが狩猟の対象として許可され、大型動物は12歳を過ぎてからとなる。現場では指導者が最低1人つくことが条件となり、使用する猟銃は2人で1丁。オレンジの蛍光ジャケットを着用し、イヤープロテクターとシューティンググラスで耳や目を保護し、移動中は指導者に銃を持ち運んでもらうなど幼児であっても義務づけられていることはとても多い。

実は隣のミシガン州は2012年から10歳未満の狩猟参加を認めており、秋になると全米から大変な数のハンターがここを訪れて狩猟を楽しんできた。子連れハンターにしても狩猟の範囲がウィスコンシン州にまで拡大することは大歓迎であろう。すでに28の州(一部情報では34州とも)で指導者の監督があればすべての年齢の子供について狩猟が認められていることを思うと、ウィスコンシン州はかなり慎重姿勢を貫いていたことが分かる。

真偽のほどは定かではないが、4歳児がシカを仕留めたと報告がなされた一方で、誤射、暴発といった事故に対する不安も捨てきれない。命のなんたるやをよくわかっていない幼児に実弾入りの猟銃を手渡す指導者。その責任はかなり大きいことを忘れてはならないであろう。

画像は『WSAW-TV 2017年11月28日付「Wisconsin DNR sold 10 hunting licenses to infants」(Pixabay)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)

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