27年のキャリアを持つ検死医でさえも「これまでに見たことがないほど残酷なケース」と口にした虐待死事件が、1月1日に米ミシガン州で発生した。4歳女児が深刻な火傷を負い浴槽内で心停止状態で発見されたのである。『CBS Detroit』『Detroit Free Press』『The Sun』など英米メディアが報じている。
ミシガン州サンプター・タウンシップで、悲劇が起こった。ガブリエル・バーレットちゃん（4歳）が1月1日に自宅浴槽内で心停止状態で発見され、近所のセント・ジョセフ・マーシー病院に搬送されたがまもなく死亡した。体中をアザと火傷に覆われていたガブリエルちゃんは、日常的に母とその恋人から虐待を受けていたようだ。
我が子を死に追いやった後、母のキャンディース・ディアズ（24歳）と恋人のブラッド・フィールズ（28歳）は1月9日、自宅から792マイル（約1,275km）も離れたジョージア州レイクパークで車を走らせていたところを逮捕された。20日に行われた裁判で重罪謀殺および第2級殺人、拷問、第一級児童虐待の罪で起訴された両被告は、その全罪状を否認した。
ガブリエルちゃんは発見された際、鼻の部分まで浴槽の水に浸かった状態で脚や臀部、肘などに重度の火傷を負っており、浴槽の中では溶けた皮膚や親指が根元から落ちた状態だったという。しかしキャンディースは「事故」と主張し、このように供述した。
「31日に娘は自分で風呂に入り火傷をした。病院には連れて行かなかった。1日に再び風呂に入りたいというので湯をはった。浴槽に半分ほどお湯が入った状態で、後は娘にお湯を出させて自分は台所にパンケーキを焼きに行った。娘は浴槽に滑って浸かり、熱湯で火傷をしたのだ。浴室に戻った時、娘が溺れているのを見つけたので、浴槽から引っ張り出そうとしたが何度も嘔吐した。ブラッドに助けを呼んで、浴室に来た彼がCPR（心肺蘇生法）を試みて娘を救おうとした。」
しかし10時5分頃に起こったとされるこの“事故”にカップルはすぐ通報せず、911コールの記録はその36分後となっている。更にその後、2人は逃走までしていた。同州ウォッシュトノー郡の検死医は「27年のキャリアでこんな酷い虐待は見たことない」と口にし、ガブリエルちゃんが身体的あるいは精神的に繰り返し虐待を受けていた「被虐待児症候群」であったことを明かしている。
検死医を驚かせるほどの虐待をわずか4歳児に加えていたキャンディースとブラッドだが、両者ともに深刻な精神疾患を抱えていたもようだ。キャンディースは過去に双極性障害、うつ病、不安障害、PTSD（心的外傷後ストレス障害）の診断を受けており、ブラッドは統合失調感情障害、社会不安症、広場恐怖症、PTSDを患っていたものの、これまできちんとした治療を受けておらず、このことが判決にどのような影響を及ぼすかということが今後の裁判では注目されるであろう。
カップルが暮らしていた平屋の中は、想像を絶するものであったようだ。実は2016年に、キャンディースがブラッドから暴行を受けたという通報を受けて警察が駆けつけていた。この件に関しては後にキャンディースが起訴を取り下げたが、当時の室内を見た警察官によると、腐った食料や汚れた食器の山、蠅が飛び回るという悲惨な状況だったようだ。今回も不衛生な環境の自宅からはコカインが見つかっており、ミシガン州厚生省はキャンディースに対してガブリエルちゃんと半分血が繋がった妹（1歳）の親権剥奪を要請、その子は児童保護サービスへと預けられた。
ガブリエルちゃんの実父であるカイルさん（26歳）は、昨年9月に子供の養育費を支払わなかった罪でウォッシュトノー郡刑務所に収監されており、その直前に会ったきりだった娘に何があったのかは一切知らなかったという。出所したのはガブリエルちゃんの死から2日後のことで、娘を亡くしたことについて「2人とも逮捕されて良かった。娘が味わった以上の苦痛をこれから味わえばいい」と怒りを露わにした。また祖母のデボラさん（47歳）と祖父ジェリーさんは、「孫が住んでいた家には行ったことがなく、会う時はいつも私の家か外だった。虐待の兆候などまったく気づかず、元気そうにしていると思った。なんとかして孫を救えていたらどれほど良かったことか。正しい裁きが下されることを願いたい」と話している。
現在、保釈金無しで拘留されているキャンディースとブラッドだが、次回の裁判は1月31日に行われる予定だという。
画像は『The Sun 2018年1月21日付「‘TORTURED TO DEATH’ Couple charged with murder over death of girl, 4, in ‘worst child death case’ in years appear in court」』『CBS Detroit 2018年1月20日付「Bond Denied For Couple Charged In Torture, Death Of 4-Year-Old Girl」（Photos: Sumpter Township police）』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部 エリス鈴子）
ミシガン州サンプター・タウンシップで、悲劇が起こった。ガブリエル・バーレットちゃん（4歳）が1月1日に自宅浴槽内で心停止状態で発見され、近所のセント・ジョセフ・マーシー病院に搬送されたがまもなく死亡した。体中をアザと火傷に覆われていたガブリエルちゃんは、日常的に母とその恋人から虐待を受けていたようだ。
我が子を死に追いやった後、母のキャンディース・ディアズ（24歳）と恋人のブラッド・フィールズ（28歳）は1月9日、自宅から792マイル（約1,275km）も離れたジョージア州レイクパークで車を走らせていたところを逮捕された。20日に行われた裁判で重罪謀殺および第2級殺人、拷問、第一級児童虐待の罪で起訴された両被告は、その全罪状を否認した。
ガブリエルちゃんは発見された際、鼻の部分まで浴槽の水に浸かった状態で脚や臀部、肘などに重度の火傷を負っており、浴槽の中では溶けた皮膚や親指が根元から落ちた状態だったという。しかしキャンディースは「事故」と主張し、このように供述した。
「31日に娘は自分で風呂に入り火傷をした。病院には連れて行かなかった。1日に再び風呂に入りたいというので湯をはった。浴槽に半分ほどお湯が入った状態で、後は娘にお湯を出させて自分は台所にパンケーキを焼きに行った。娘は浴槽に滑って浸かり、熱湯で火傷をしたのだ。浴室に戻った時、娘が溺れているのを見つけたので、浴槽から引っ張り出そうとしたが何度も嘔吐した。ブラッドに助けを呼んで、浴室に来た彼がCPR（心肺蘇生法）を試みて娘を救おうとした。」
しかし10時5分頃に起こったとされるこの“事故”にカップルはすぐ通報せず、911コールの記録はその36分後となっている。更にその後、2人は逃走までしていた。同州ウォッシュトノー郡の検死医は「27年のキャリアでこんな酷い虐待は見たことない」と口にし、ガブリエルちゃんが身体的あるいは精神的に繰り返し虐待を受けていた「被虐待児症候群」であったことを明かしている。
検死医を驚かせるほどの虐待をわずか4歳児に加えていたキャンディースとブラッドだが、両者ともに深刻な精神疾患を抱えていたもようだ。キャンディースは過去に双極性障害、うつ病、不安障害、PTSD（心的外傷後ストレス障害）の診断を受けており、ブラッドは統合失調感情障害、社会不安症、広場恐怖症、PTSDを患っていたものの、これまできちんとした治療を受けておらず、このことが判決にどのような影響を及ぼすかということが今後の裁判では注目されるであろう。
カップルが暮らしていた平屋の中は、想像を絶するものであったようだ。実は2016年に、キャンディースがブラッドから暴行を受けたという通報を受けて警察が駆けつけていた。この件に関しては後にキャンディースが起訴を取り下げたが、当時の室内を見た警察官によると、腐った食料や汚れた食器の山、蠅が飛び回るという悲惨な状況だったようだ。今回も不衛生な環境の自宅からはコカインが見つかっており、ミシガン州厚生省はキャンディースに対してガブリエルちゃんと半分血が繋がった妹（1歳）の親権剥奪を要請、その子は児童保護サービスへと預けられた。
ガブリエルちゃんの実父であるカイルさん（26歳）は、昨年9月に子供の養育費を支払わなかった罪でウォッシュトノー郡刑務所に収監されており、その直前に会ったきりだった娘に何があったのかは一切知らなかったという。出所したのはガブリエルちゃんの死から2日後のことで、娘を亡くしたことについて「2人とも逮捕されて良かった。娘が味わった以上の苦痛をこれから味わえばいい」と怒りを露わにした。また祖母のデボラさん（47歳）と祖父ジェリーさんは、「孫が住んでいた家には行ったことがなく、会う時はいつも私の家か外だった。虐待の兆候などまったく気づかず、元気そうにしていると思った。なんとかして孫を救えていたらどれほど良かったことか。正しい裁きが下されることを願いたい」と話している。
現在、保釈金無しで拘留されているキャンディースとブラッドだが、次回の裁判は1月31日に行われる予定だという。
画像は『The Sun 2018年1月21日付「‘TORTURED TO DEATH’ Couple charged with murder over death of girl, 4, in ‘worst child death case’ in years appear in court」』『CBS Detroit 2018年1月20日付「Bond Denied For Couple Charged In Torture, Death Of 4-Year-Old Girl」（Photos: Sumpter Township police）』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部 エリス鈴子）