Infoseek 楽天

【海外発!Breaking News】教会から発見されたミイラ、英外務大臣の先祖だった(スイス)

TechinsightJapan 2018年1月30日 14時18分

バーゼル旧市街にあるバーフュッサー教会(Barfüsserkirche)で一体の女性のミイラが発見されたのは約40年前、1975年に行われた改装工事がきっかけであった。以来「バーフュッサー教会の貴婦人」としてスイスで有名な存在であったが、このミイラが誰なのかという点は解明されないままであった。だが一昨年から行われた調査の結果、ついに正体が判明。なんとこの女性は、イギリスの現外務大臣ボリス・ジョンソン氏の9代前にあたる先祖だったのだ。

このミイラは収められていた木棺が16世紀のものであったこと、体に水銀中毒の症状が見られること、そして恐らく当時の上流階級に属する身分であるということしか明らかになっておらず、「上流階級に属する身分」については、当時バーゼルの裕福な人々はバーフュッサー教会周辺に埋葬されることが多くこのミイラの墓も教会の祭壇正面にあったこと、ミイラの体格がややふっくらとしたものであったこと、そして身に着けていた衣類が質の良いものであったことなどがその理由として挙げられる。

長らく謎のままであったこのミイラだが、バーゼル自然史博物館に移動された後の2015年から本格的な調査が始まった。当時このミイラの特別展開催が決まっていたが、学芸員であり人類学者でもあるゲルハルト・ホッツ氏(Gerhard Hotz)はミイラについてもっと知っておきたいと考え、同僚や様々な分野の学者、専門家など約40名とともに調査を開始した。

DNA検査やミイラの墓に関する記録の検証などが行われた結果、最終的に1人の女性が浮かび上がった。だが確証を得るために、候補者の系譜から存命する子孫にあたるバーゼル在住の兄弟及びアメリカ在住の88歳女性から唾液サンプルが採取され、ミイラのDNA情報が比較検討された。そしてこのミイラは1719年にフランスのストラスブールで生まれた女性、アンナ・カタリナ・ビショッフさん(Anna Catharina Bischoff)であることにほぼ間違いないという見解に至った。

アンナ・カタリナさんは当時の上流階級に属する人物であったため、誕生や結婚、死亡に関する記録は現在まで残されており、彼女の正体が判明した後は様々な情報が明らかとなった。牧師の娘であり、自身の夫もプロテスタントの牧師であったアンナ・カタリナさんは夫と共に長年ストラスブールに暮らしており、そこで梅毒患者の治療に携わっていたが、彼女自身も梅毒に感染してしまった。

15世紀後半から19世紀のヨーロッパでは水銀が梅毒治療に効果があると考えられており、アンナ・カタリナさんの体から水銀の徴候が見られたのは、彼女にも水銀が処方されたからだと見られている。だが水銀は毒性があり、中毒になる可能性も高い。夫の死後、彼女は姉妹が住むバーゼルに移ったが、そこで水銀中毒が原因となり1787年に死亡した。しかし彼女の命を奪った水銀は体内全ての細菌を死滅させたため、遺体は腐敗することなくミイラとなったのだ。

そしてこれらの調査の経緯から、アンナ・カタリナさんの子孫の1人がイギリスの外務大臣ボリス・ジョンソン氏であることも判明した。ジョンソン氏にとって9代前にあたるアンナ・カタリナさんには7人の子供が生まれたが、そのうち成人したのは2人の娘だけであった。うち1人の娘アンナさんの結婚相手クリスティアン・フーベルト・プフェッフェル男爵(Christian Hubert Baron Pfeffel)の名字が、ジョンソン氏(本名はAlexander Boris de Pfeffel Johnson)に受け継がれている。

このたびの発見について、ジョンソン氏は自身のツイッターで「自分の遠いおばあちゃんのことを聞いて非常に興奮している。とても光栄なこと」とつぶやいている。

画像は『SPIEGEL ONLINE 2018年1月25日付「Das ist die Ur-ur-ur-ur-ur-ur-ur-Oma von Boris Johnson」(Guido Kleinhubbert)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)

この記事の関連ニュース