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【エンタがビタミン♪】草なぎ剛 『赤報隊事件』実録ドラマで迫真の演技「大切な作品になりました」

TechinsightJapan 2018年1月30日 17時59分

1月27日、28日に放送されたNHKスペシャル『未解決事件「File.06 赤報隊事件」』で第1夜の実録ドラマに草なぎ剛が出演した。30年前、朝日新聞阪神支局に目出し帽の男が進入し散弾銃を発砲、居合わせた記者3名のうち2名が死傷した。犯人をつきとめようとする朝日新聞特命取材班記者・樋田毅(ひだつよし)役を演じたのが草なぎである。彼は実録ドラマのオンエア後に、SNSで「僕にとって、また大切な作品になりました。見てくださりありがとうございました!」とつぶやいている。

1987年5月3日に朝日新聞阪神支局を襲撃した後、赤報隊は各地の朝日新聞関連施設で発砲や爆破未遂を続け、中曽根・竹下元首相への脅迫、リクルート元会長宅への銃撃など事件は全国に拡大した。大阪本社社会部記者の樋田毅と辰濃哲郎(上地雄輔)も特命取材班として犯人を追う。

銃撃により亡くなった阪神支局・小尻知博記者の妻・裕子役を堀内敬子、草なぎ演じる樋田毅記者の妻・恵子役を中越典子が務めた。記者や家族の気持ちがひしひしと伝わる演技により、ドキュメンタリータッチの作品をさらに事実に近く感じることが出来た。

なかでも樋田毅と辰濃哲郎のコンビを演じた草なぎ剛、上地雄輔の息はぴったりで見せ場も多かった。犯人の可能性がある右翼団体活動家の佐藤(今野浩喜)を追い詰めながら見失うシーンはスリリングで刑事ドラマを見ているかのようだ。

事件からやがて10年となる1996年のある日、彼らは独自の取材でつきとめた右翼団体の代表・林(村田雄浩)の自宅を訪れる。この時の草なぎ剛による鬼気迫る演技はなかなか出来るものではない。

林と卓を挟んで対す樋田と辰濃、緊迫した空気のなか話は赤報隊に及ぶ。樋田が「言論には言論で反論するべきではないか」「あなたはテロ自体を認めるのか」と問いただすと、林は「私利私欲を捨て国家のためにやっているから許される。そこには優しさがある」と説く。

樋田が「優しい人がやるテロは許されるということか」と詰め寄るので、林は立ち上がって「何が言いたいのだ」と声を荒らげた。樋田は「あなたがやったとは言っていない、どうしてやったのかを犯人に聞きたいと思っているのだ」と諭しながら小尻記者の家族写真を見せた。

「先ほどのようなことを小尻記者の遺族の前で言えますか?」と迫られた林は「言えないかもしれぬ」と答えながら朝日新聞が「南京事件騒動」について修正しないことを持ち出した。

樋田は「マスコミが紙面に責任を負うべきとの意見はもっともです」と受け止めたうえで、「朝日新聞が間違っていることもあるし、激しい議論が起きることもある。しかし、立場の違いを認めずに考えの異なる者を銃で撃ち殺し、それを正義だと主張したのが赤報隊だ」と迫る。

さらに「そういう意味で、殺された小尻記者に向けられた銃弾は、自由な社会を求める私たち一人一人に向けられたものなのです。だから、ああいう暴力は絶対に認められない」と訴えた。その気迫に「国のためならばテロは許される」などと口にしていた林も沈黙するのだった。

2002年5月3日、朝日新聞阪神支社襲撃事件は時効となる。時が経ち2017年、東京で会った樋田毅と辰濃哲郎は赤報隊が用いた「反日」という言葉が社会の端々で聞かれることを嘆く。

「今は、ネットもひどいですよ。まさに憎しみの連鎖です」という辰濃に、樋田は「先日取材した右翼が“つかまらない赤報隊は俺たちに好都合だ。記事や言動しだいでは赤報隊が再び動きだすぞという無言の圧力になる”と言っていた」と話した。

赤報隊事件は時効となったが、その主張は30年かかって着実に社会に広がっているのだとすれば怖いことである。それを忘れないためにもこうしたドラマで知らせ続けなければなるまい。草なぎ剛もその意義を感じたからこそ、渾身の演技で臨み「僕にとって、また大切な作品になりました」と感慨を覚えたのだろう。

画像は『草なぎ剛 2018年1月27日付Twitter「本日、放送です!今回は、35才から65才ぐらいまで演じてます。」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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