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【エンタがビタミン♪】バナナマン設楽、大手ゲームメーカーでの決断に実感「ルールは大事だが気持ちも必要」

TechinsightJapan 2018年3月3日 20時36分

ドキュメンタリー系バラエティ番組『奇跡体験!アンビリバボー』で3月1日に放送した“ゲームと少年巡る特別な3日間 人生変える奇跡の出会い”が多くの心を打った。スタジオレギュラーの剛力彩芽、バナナマンの設楽統・日村勇紀も予想を超える展開に「この話自体がゲームみたいになってきている」と唸る。

2006年5月から販売されたゲームソフト『.hack//G.U.(ドットハック・ジーユー)』の開発に関わった「サイバーコネクトツー」の代表取締役社長・松山洋さんが、12月にバンダイナムコゲームスの新旧担当プロデューサー中田理生さん・内山大輔さんと3人である「少年」を訪ねることになった。

その「少年」藤原洋くんは生後9か月で眼球に小児がんの一種を発症し右目を摘出、19歳になって左目ににがんが再発し2年ほど治療したが命を守るため左目も摘出することが決まる。彼は視力を失う前にどうしても『.hack//G.U.』の第3作をやりたいと願い、その思いを知ったソーシャルワーカーがバンダイナムコに相談してきたのだ。

『.hack//G.U.』は3部構成で第1作、第2作は2006年に販売されており、第3作は2007年1月18日発売予定だった。洋くんの手術は2007年1月9日に行われるので、願いを叶えるには試作品を贈るしかない。ゲームをプレイするには問題ないが、ディスクやパッケージのデザインはまだ出来ていなかった。

松山さんたちは前日に最終確認用の印刷物でパッケージを作り、説明書も手作りしてできる限りの『.hack//G.U.』にした。病院を訪れたのは12月25日、思わぬクリスマスプレゼントに洋くんは「世界に一つしかないソフト」だと喜んでくれ、他の子どもたちとゲームを楽しんだ。

この時、松山さんはまだ知らなかったが、実はバンダイナムコゲームスのなかである人物が決断したことにより「少年」の願いを叶えることができたのである。

『.hack//G.U.』の販売元バンダイナムコゲームスで責任ある立場の澤田さんは、松山さんもよく知っており「口は悪い」ものの親しみを覚える人柄だ。

ソーシャルワーカーから「少年」の願いを相談された当時、バンダイナムコゲームスで会議が行われた。

社員たちから「そういう相談が1人ではなく100人きたら全部対応するんですか?」「バンダイナムコだけの問題ではなく、プラットフォーマー(ハードウェアメーカー)の許諾も必要かと」「発売前のゲームソフトを渡すのならば、機密保持契約を結んだ方がいい」などの意見が出る。

そんな声に机を叩いて「お前ら、いい加減にしろよ!」と一喝したのが澤田さんだった。彼は「お前ら何をくだらない議論や確認をしてるんだ! 本人にとってはあとたった3週間しかないんだぞ! だったら、俺たちが選択するのはひとつに決まってるだろう!」と訴えた。

そして、中田理生さんに「中田! 少年のところにいって試作品をプレゼントして来い! 思う存分楽しんでもらうんだ!」と命じ、「いいいかみんな、これは俺の独断指令だ。誰に何を言われても『僕は何もわかりません。澤田さんに言われてやっただけです』と答えろ」と念を押したのである。

洋くんに『.hack//G.U.』をプレゼントした10年後、中田さんからその真相を知らされた松山さんは「あの澤田さんが」と驚き、定年退職してパン屋を営む澤田さんを訪ねた。相変わらずぶっきらぼうで「そんな昔のことは覚えてねぇよ」という澤田さんだったが、別れ際に「洋くん、よかったな」と呟いた。

松山さんは10年ぶりに洋くんと再会、30歳を過ぎた彼は結婚して子どももいた。一家に相談して取材を続け2017年11月、1本のゲームソフトと少年を巡る出来事をまとめた本を書き上げる。

そうした経験から「サイバーコネクトツー」の社員に「この仕事をしていてたまに思うことがある。我々がやっていることは本当に意味があるのか?」と話す言葉にも実感がこもっていた。

「ゲームソフトなんて誰も欲してはいないのではないか? でも、俺らがやってるこの仕事は、このエンターテインメントは、やっぱり意味があるんだよ。悩んで苦しんでモノを作っている日々の果てに、完成した作品を楽しみに待ってくれている人が必ずいる。そういう人達の勇気や希望になっているんだ。」

「俺は心からそう思うし、一緒に作ったみんなのことを誇りに思う」という松山さんの思いはしっかり伝わっていたようだ。

VTRに見入っていたバナナマン設楽は、澤田さんによる決断を「ルールが大事というのは分かる。でも、それプラス気持ちが入ってこそ成し得ることがある」との趣旨でコメントする。

また、剛力彩芽は「松山さんが語っていた、自分たちがやっている仕事の意味」が心に響いたという。設楽もがむしゃらに仕事をしていて「何をやってるんだろう?」と迷った時に、他の力で気づかされ初心に戻れたりするものだと共感していた。

オンエア後には視聴者から様々な感想がツイートされており、「震災の時にお笑いなんて不謹慎と言われたけど、実際被災者を癒したのはお笑いやゲームの娯楽だった。漫画も映画も人生に無くていいものは、必ず誰かの助けになる」という声も見受けられた。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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