Infoseek 楽天

【海外発!Breaking News】オンラインレビューに最低評価をした患者、婦人科医に名誉棄損で訴えられる(米)

TechinsightJapan 2018年6月5日 5時0分

思ったことを書き綴る口コミサイトで、ある婦人科での経験を投稿した女性。しかしネガティブな評価を付けたことを理由に、医師から名誉棄損で訴えられてしまった。女性は100万ドル(約1億900万円)の損害賠償を請求されているという。『CBS News』『ABC7 Eyewitness News』『BBC News』などが伝えた。

米ニューヨーク在住のミッシェル・レヴァインさん(36歳)は昨年7月(一部報道では8月とも)、ネット上で見つけたマンハッタンにある婦人科「Robotic Gynecology & Women’s Health」に年に1度の定期検診の予約を入れ、出向いた。

ところがジューン・ソン医師はミッシェルさんが必要としていない超音波検査を行い、初診料とその検査代併せて1,300ドル(約142,000円)を保険会社から請求した。ミッシェルさんはすぐにRobotic Gynecology & Women’s Healthへ電話し苦情を伝えるも、「あなたは骨盤に痛みがあるといって来院したんだから当然の処置をしたまで」と取り合ってもらえなかったため、病院やレストラン、美容院など公共施設の口コミサイト「Yelp」「Zocdoc」「Healthgrades」など複数に、「『Robotic Gynecology & Women’s Health』のジューン・ソン医師に不必要な超音波検査の費用500ドル(約55,000円)を請求された。まだ一度しか診察を受けていないのに精神的に追い詰められパニックになっている。被害者は私だけではないと思う」といったネガティブ評価を綴り、同医院のFacebookアカウントレビューにも星1つの低評価を下した。

口コミサイトに書き込んでから2週間後、ミッシェルさんはRobotic Gynecology & Women’s Healthの弁護士からメールを受け取った。そこにはミッシェルさんが嘘の投稿とオンライン上での嫌がらせをしたとして、ソン医師の名誉棄損および中傷、精神的苦痛により損害賠償100万ドル(約1億900万円)を求める内容が記されてあった。ソン医師から訴訟を起こされて1年近くになるミッシェルさんは、このように話している。

「訴えられたと知って最初は信じられない気持ちでした。でも名誉棄損ではありません。私は全て真実を書いたまでです。ソン医師は私が定期検診で行っただけなのに超音波検査までして、不適切な請求をしたのです。私は自分の投稿に後悔していません。起こったことそのままの真実を書いて、他の人に注意を促しただけです。」

サイト「Yelp」に綴られたミッシェルさんの低評価に対し、Robotic Gynecology & Women’s Health側は「超音波検査は全ての患者に行っている。深刻な病が隠れていた場合、この検査で明らかになることもあるからだ」と反論したようだ。ミッシェルさんは自分の投稿を後悔していないと主張するものの、訴訟後は口コミサイトから投稿を削除した。しかし思いもよらぬ訴訟で、自分を擁護するため既に2万ドル(約220万円)の法的費用をつぎ込んでいる。ソン医師はミッシェルさんが投稿を削除した後も訴訟を取り下げようとせず、法廷ではミッシェルさんの個人的な診察記録までもが公にされてしまったという。

「私はレビューを書いただけです。アメリカでは誰もがどんなことにでも訴訟を起こすことができる国ですが、被害者は自分の擁護のために費用を払わなければならず、出口などありません。私はソン医師の被害者になってもう1年近くも経ちました。」

しかし一方で、Robotic Gynecology & Women’s Healthの弁護士はこのように反論した。

「米憲法修正第1条では表現や宗教の自由が保障されていますが、それは人を中傷してもいいということではありません。誰でも自分の意見を口にすることはできますが、あからさまな嘘の発言は小さな事業者や医療業務に大きなダメージを与えることとなります。」

口コミサイト「Yelp」のスポークスマンは「企業が個人の客を訴えるというのは稀です。訴訟を起こすことはカスタマーサービスとしては良い代案ではないと企業側は常に考えるものです。ちなみに、カリフォルニア州やテキサス州には自分の経験を正直に発言した際に、事業者がそれを封じ込めようと訴訟を起こすことを禁じる州法が定められていますが、ニューヨークにはそれがありません」と述べている。

100万ドルの損害賠償および裁判費用を請求されているミッシェルさんは現在、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」にアカウントを設置し法的バトルへの募金を呼びかけている。ミッシェルさんは「このアカウントを立ち上げることで、人々に米憲法修正第1条の権利適用が世間ではまかり通るべきだということと、その権利を利用した者を罰するべきではないということを伝えたいのです。それに、この憲法に倣ったことで患者のプライバシーが法廷で暴露されるべきではないのです」と語っているが、アカウントには目標金額8万ドル(約870万円)に対し2,000ドル(約22万円)が集まっているのみで、「超音波検査を望んでいなかったのであれば、されるまえにはっきり断るべきだったのでは」「だからネットで容易く人を非難する書き込みをしたらダメなのよ。高い授業料になったわね」「でもこれって医療の詐欺行為も同じじゃない? 訴訟を取り下げられるよう頑張って」「個人情報を公に流すのは明らかに悪いことだろ。医師が悪い」といった賛否両論の声があがっている。

画像は『CBS News 2018年5月30日付「Doctor sues patient for $1 million for posting negative reviews online」(CBS NEW YORK)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

この記事の関連ニュース