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【海外発!Breaking News】ボストンマラソンを這って完走 「亡き友3人のために」走った元海兵隊員(米)<動画あり>

TechinsightJapan 2019年4月18日 18時0分

米マサチューセッツ州ボストンで4月15日、第123回ボストンマラソンが開催された。その中で手をつき、膝をつき、四つん這いになってフィニッシュラインを越えたランナーがいた。彼は元海兵隊員で9年前、アフガニスタンで3人の仲間を亡くしていた。

米オハイオ州トールマッジ在住のマイカ・ハーンドンさん(Micah Herndon)は2010年、海兵隊ラヴァ・ドッグズ(Lava Dogs)部隊の砲兵隊員としてアフガニスタンで従軍中、移動中の車両が爆弾による攻撃を受けた。マイカさんは3度の爆発の衝撃で意識を失ったものの、違う車両に乗っていた3人の仲間を失った。マイカさんが生き延びたのは、乗っていた車両を狙った即席爆発装置(IED)と呼ばれる手製の爆弾が何らかの理由で爆発しなかったためで、幸運としかいいようがなかった。

その後、戦地から帰国したものの心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされていたマイカさんが、心のバランスを保つために始めたのがマラソンだった。マイカさんは一日に約5キロを走ることから始め、2017年と2018年にハーフマラソンに挑戦。600人を超える参加者の中で16位と15位にランクインするなど、確実に実力をつけていった。

マーク・ウォレスさん(Mark Juarez)、マシュー・バラードさん(Matthew Ballard)、英ジャーナリストのルパート・ハマーさん(Rupert Hamer)を亡くし、常に“自分だけ生き残った”という罪悪感に苛まれていたというマイカさんは、地元紙『Record-Courier』に“走る理由”について次のように明かしている。

「走ることで心の傷が癒されるんだ。戦場から帰ってきても『自分は大丈夫だ』っていう人がいるだろう。でも自分はPTSDと闘っていることを誇りに思っているよ。それが自分だからね。クウェートでは気温が60度近くにまで上がるんだ。だからマラソンでどんなに苦しくても、自分はやれるって思うんだ。」

「マラソンは亡くなった3人に敬意を表して走るんだ。彼らはもうここにはいない。でも自分は生きている。自分は走ることができる。幸運なことに手も脚もある。まだまだいろんなことに挑戦もできる。走ることができるって思うだけで力が湧いてくるんだ。走ることができない人がわんさかいる中でね。走らないでいると、なにか人生の道を踏み外してしまったかのような気分になるんだ。走っている時は暑くて苦しくなったり、脚が痛くなったり、疲れがピーク達したり、どうにもならなくなる時があるけど、そんな時は仲間だった3人の名前を大声で唱えるんだ。『バラード、ハマー、ウォレス、バラード、ハマー、ウォレス』ってね。そして『3人は自分よりも何倍も苦しんだ。3人のために走るぞ。3人の家族のために走るぞ』って自分に言い聞かせるんだ。3人はいつも自分の心の中に生きているんだよ。」

ボストンマラソン当日、マイカさんはゼッケンと自分の手の甲に3人の名前を書き、靴に3人の名前が刻まれたタグをつけて走った。しかし32キロ地点に差し掛かると、急に脚が前に出なくなった。

「最後の6.7キロは今までのマラソンの中で一番つらかった」と言うマイカさんは、ゴールまで70~90メートルのところで脚の動きが止まり、突然地面に崩れ落ちた。だがマイカさんは諦めなかった。周りの助けを拒否し、四つん這いになって前に進んだ。「大丈夫、君ならできるよ…」そんな力強い応援の声がマイカさんを後押しした。そしてこのマイカさんの姿は、動画としてSNSに投稿され拡散した。

初のフルマラソンを走り終えたマイカさんは、『TODAY』のインタビューで「自分の記録には満足していないよ。ボストンを走るのは初めてで、コースをよく把握していなかったからね。でもこのようにニュースになって嬉しいよ。自分のような退役軍人はたくさんいるからね。自分を見て何かを感じてくれたらいいと思う」と語った。

身体の不調にもかかわらず、マイカさんは“3時間38分”という好タイムでゴールした。次はニューヨークマラソンに出場する予定だという。


How badly do you want it? #BostonMarathon pic.twitter.com/EYo7liqM5Q
— Dana Giordano (@dana_gio6) 2019年4月15日


画像は『USA TODAY 2019年4月16日付「A Marine heroically crawled to the finish line of the Boston Marathon and it was awesome」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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