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【海外発!Breaking News】娘が誕生する4週間前に脳腫瘍で逝った父「決してあきらめてはいけないよ。夢を追いかけて生きるんだ」(豪)

TechinsightJapan 2021年5月8日 22時50分

今から3年前、脳腫瘍で「余命2年」と宣告された男性が今年3月に亡くなった。33歳だった。このたび男性の妻が『7NEWS.com.au』などのインタビューに応じ、最期まで病気と闘い続けた夫の生き様や、まだ見ぬ娘へあてて遺した手紙などについて語った。

豪ニューサウスウェールズ州セントラルコースト在住のスコット・ファーガソンさん(Scott Ferguson、通称ファーガスさん)は2018年2月、ショッピング中に突然倒れシドニーの病院に搬送された。

検査の結果、ファーガスさんは最も悪性度が高いグレード4の悪性脳腫瘍「膠芽腫(グリオブラストーマ)」であることが判明し、医師に「余命2年」と宣告された。

大脳に発生し周囲に広がることで知られる膠芽腫は、進行が早く予後が悪い。当時ファーガスさんはまだ30歳で、ゆくゆくは恋人のジェイミーさん(Jaymie)と結婚し、子供を育て、幸せな家庭を築くことを夢見ていたが、突然の余命宣告は2人の将来に暗雲をもたらした。

2010年からファーガスさんと交際していたというジェイミーさんは「余命宣告はあまりにも衝撃的で、私は悲願に暮れていました。でもファーガスは違ったのです」と明かし、このように続けた。

「ファーガスは決して弱音を吐くことなく、常に前向きでした。もともとガッツのある性格でしたが、彼を見た友人らは『なんでそんなにリラックスしていられるの?』と驚きの声をあげるほどでした。」

「ファーガスの姿勢は病院でも変わらず、シドニーの病院の医師には『この検査結果だったら、普通なら死んでるよ』と冗談を言われ、病院長は『放射線治療を3度も行ったのは君が初めてだよ』と目を丸くしていました。」

そんなファイターだったファーガスさんが望んだのは「遺された時間で夢を1つずつ叶えていくこと」で、2019年にジェイミーさんと結婚すると「体外受精で赤ちゃんが欲しい」と不妊治療施設にも通院した。海外旅行にも出かけ、今年初めには豪クイーンズランド州東岸のウィットサンデー諸島でハネムーンを楽しみ、グレートバリアリーフで泳いだ。ジェイミーさんは「最期には身体の左半分が思うように動かなかったのですが、ファーガスは不平を言うこともなくスノーケリングをしていました。彼は最期まで夢を追い、病気と闘っていたのです」と、当時の様子を振り返る。



そうして不妊治療開始から10か月後、夫婦は待ちに待ったニュースに歓喜した。ジェイミーさんが女の子を妊娠していることが分かったのだ。

ジェイミーさんは「妊娠は難しいと思っていたので、私たちは飛び上がって喜びました。ファーガスはどんなに具合が悪くても私の検診には一緒についてきて、いつも私のお腹をさすり、娘に話しかけていたのです」と述べ、「娘を授かったことがファーガスに病気と闘う力を与えていたのだと思う」と回顧した。



それでも病魔には勝てず、ファーガスさんは今年3月31日に自宅で静かに息を引き取った。娘のアイラ・スコットちゃん(Isla Scott)が誕生する4週間前のことだった。

ジェイミーさんは「アイラが生まれてからは嬉しい反面、娘を抱くことなく逝ってしまったファーガスを思い複雑な気持ちになるのです。『彼ならきっと素晴らしい父親になれたのに』とか『娘と一緒にあれも、これもしたかっただろうな』と考えると、どうにもやりきれません」と語り、「ファーガスの命を奪った脳腫瘍の研究が進み、患者や家族のサポート体制が一日でも早く整うことを願っています」と続けた。



実は自分の死期を悟ったファーガスさんは家族に動画や手紙を遺しており、ジェイミーさんは父から娘にあてたメッセージの一部を披露した。



「私は今、病気と必死で闘っている。君と会うことができるようにね。」
「決してあきらめてはいけないよ。」
「夢を追いかけて生きるんだ。」
「他の人と同じように生きる必要はないぞ。」
「ママとパパはいつも君のことを誇りに思い、君のことを考えているからね。」
「一日一回笑顔になれるなら、全ては上手くいくからね。」
「君が結婚する時は見守っているよ。そして君と一緒にバージンロードを歩くんだ。」

画像は『7NEWS.com.au 2021年5月4日付「Pregnant NSW woman widowed by cancer only weeks before giving birth」(Credit: Supplied)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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