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日本初導入「離婚前講座」期待される効果と課題

JIJICO 2014年9月14日 12時0分

兵庫県明石市が「離婚前講座」を年度内に試行的に導入

兵庫県明石市は、離婚を検討している父母を対象に、子どもとの面会交流や養育費分担を促すための「離婚前講座」を年度内に試行的に導入することを決めました。アメリカでは複数の州が離婚に際し、こういった講座の受講を義務付けていますが、日本の自治体では初めての試みです。

まず、このような制度を導入する背景としては、離婚後に子どもの福祉がないがしろにされるケースが少なからず存在するということが言えます。養育費の問題については、そもそも離婚時に具体的な取り決めを行っていない場合もありますし、決めていても文書にしていないこともあります。また、仮に文書等で残していても、それが裁判所で作成した文書(調停調書や判決文等)や強制執行認諾文言付の公正証書ではない場合、改めて裁判などを行ってからでないと強制執行ができないということとなります。こういった事情から、養育費の支払いを受ける側は、泣き寝入りしてしまうことも少なくありません。

一方で、面会交流については、面会させるべき子どもがまだ幼く、自分の意思で行動できない場合、その子を日ごろから監護する親が一方の親に会わせるために能動的な行動をする必要があります。通常、離婚とは相手との折り合いが悪くなった結果のことなので、感情的にその相手に我が子を会わせることを拒絶するケースが珍しくありません。

子どもの福祉に対する理解が進めば、離婚前講座の意義は大きい

このように、養育費にしても面会交流にしても、離婚後に実際に同居する方の親以外の親との交流が絶たれて子どもが育った場合、その子どもは同居していない親から「捨てられた」という意識を持って育ってしまうということは想像に難くありません。離婚前講座によって子どもの福祉に対する理解が進むこととなれば、この講座の意義は大きいと思います。

この講座を通じて、離婚をする夫婦には双方の感情的な問題で子どもの生育に悪影響を及ぼしてはいけないと認識してもらい、子どもには両親の離婚が決して自分の責任ではないこと、両親から愛されていることを理解してもらえることが期待されます。

もっとも、先述のような養育費や面会交流を拒絶するようなケースは、夫婦の感情的な溝が大きく、子どものためにこういった講座を受けるという意識すら乏しいことが多いでしょう。本来、最も受講すべき対象にいかに受講してもらうかが今後の課題となると思います。より多くの夫婦に離婚前講座の受講を受けてもらえるような体制づくりも明石市には期待します。

(河野 晃/弁護士)

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