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先進医療特約は本当に必要?プロの見解

JIJICO 2014年9月23日 12時0分

新規の医療保険契約者のほとんどが付ける「先進医療特約」

「先進医療は最高1,000万円まで実費を保障」。このフレーズのインパクトは、とても強いものがあります。実際、その宣伝効果の影響もあって、先進医療特約は、新規の医療保険契約者のほとんどが付けるようです(先進医療特約は、新規契約のほか、現在加入している医療保険等に特約として途中付加することができる場合もあります。一部、途中付加できない商品もあります)。

先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた療養をいい、健康保険は適用されないため、通常の「1割負担、3割負担」などではなく、「10割負担」つまり全額自己負担となります。なお、先進医療を利用する場合でも、他の健康保険の適用対象となれば、費用は「1割~3割負担」です。

大きな保障でありながら、保険料は月額50円程度から200円弱

先進医療特約は、厚生労働大臣に承認されている先進医療を受けたときに、保険会社が定める金額が支払われる特約です。実費を支払う特約が多く、中には、先進医療は特定の医療機関でしか扱っていないことを考慮して、交通費や宿泊費も保障するものもあります。

なお、先進医療特約の対象は、「療養を受けた時点」で先進医療に指定されている治療技術であり、「契約時点」におけるものではありません。つまり、契約時点では先進医療に該当し、健康保険などの適用外であった治療法であっても、その後、適用対象となれば、先進医療特約の保障の必要性は相対的に低いため、対象外となります。

保険期間中の保障金額も600万円、1,000万円、2,000万円など(ちなみに、よくテレビで紹介される先進医療のひとつ「重粒子線治療」は300万円程度かかりますが、1回の照射でも2回、5回、10回、20回の照射でも費用は同じです)。これだけ大きな保障でありながら、保険料は月額50円程度から200円弱。先進医療を受ける可能性は低いため「ムダ」と捉えることもできますし、大きな治療費の出費に対して、安い保険料で買うことができることから「安心」ともいえます。

「先進医療が必要か?不要か?」との二択の質問への答えはない

入院給付金、手術給付金をもらったことがない人にとっては、「先進医療特約の保障を使う可能性は極めて低いのでは?」と感じるかもしれませんが、「保険」はそもそも人生で滅多に起きないことに対して、起きたときの「財源」を確保するための商品です。ざっくりした計算例ではありますが、仮に100円の先進医療特約の保険料を50年(600月)支払うと合計60,000円。この保険料で1000万円の保障が確保できるということは、割安にも見えますが、それだけ利用する人も少ないと考えられ、保険会社の利益も大きいと推測できます。

「先進医療が必要か?不要か?」との二択の質問に対する答えはありません。最終的には「保険料と保障内容」から、どう判断するかの一点に尽きます。ただし、健康状態によっては、生命保険、医療保険に加入できない、先進医療特約は付保できない、という可能性もあります。先進医療特約を付けようとして健康告知をして断られた経験がある人には、眩しく見えることでしょう。先進医療を受ける選択肢があるときに「財源がない」ことで諦めたり、ためらったりしたくないようであれば、検討する価値はあると思います。

興味がある人は、現在加入する保険に付保できるか否か、また、付加できないようであれば、先進医療特約のある医療保険や共済を複数調べてみて家族と話し合ってみてください。

(益山 真一/ファイナンシャルプランナー)

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