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5人に1人が該当する「過労死ライン」とは?

JIJICO 2014年10月7日 15時0分

22.5%が過労死の恐れがある長時間労働に従事

厚生労働省は2014年9月25日、「2013年若年者雇用実態調査」を発表しました。その中で、15~34歳の若年正社員のうち時間外労働時間が月80時間の「過労死ライン」を上回る「週60時間以上」が7.2%、過労死ラインに近い「週50~60時間未満」が15.3%となり、合わせて22.5%が過労死の恐れがある長時間労働に従事していたことが分かっています。つまり、長時間労働によって心身に危険が及ぼしている人が、約5人に1人いるということになります。

ここで言う「過労死ライン」とは、正確には平成23年12月に厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に定められた基準のことを指します。これまで労災は、個別の事案ごとに労災であるか否かが判断していました。しかし、この基準により労働者本人がどう受け止めたではなく、客観的な数字を根拠に労災であるか否かを判断することとなりました。基準の一つが、「1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行った」で、この場合は中程度と評価されます。ちなみに「3ヵ月連続で100時間以上の時間外労働を行った」場合は強程度と評価され、自動的に労災と認定されます。

変更されたルールを遵守するための施策を考えるべき

では、労働者としてはどのように考えればよいでしょうか。一つは、月80時間を上回る職場は異常であることを理解することです。その上で、他にも働く中でおかしなことがないか、家族や専門家に相談することを考えてください。また、経営者としては、長時間労働が重大な経営リスクであることを認識すべきです。昔は100時間程度でも当たり前だったと主張する経営者もいますが、平成23年12月よりルールが変わっています。そのことをよく理解し、長時間労働をなくすための施策を考えるべきです。

長時間労働が多い職場の維持要因として、「仕事量が多すぎる」「社風として早く帰りづらい」という2つのパターンがあります。前者の場合は人を増やすか、あるいは無駄な仕事をしていないかという業務改善が大切です。後者の場合は、上司が率先して早く帰るように経営会議で検討し、ノー残業デーの徹底を図るなどの施策が必要です。いずれにせよ、経営者が長時間労働はリスクであるという認識を持って本気で取り組むことが大切です。

これまで、日本では滅私奉公の言葉の下に、会社に長時間労働で奉公することが美徳とされてきました。しかしながら、前述したように法律のルールは変わったのです。また、近年はワークライフバランスという言葉で、新しい働き方が求められています。労働者・経営者とも、働き方について考え直すタイミングであることは間違いありません。

(植田 健太/臨床心理士・社会保険労務士)

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