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在宅勤務ですが「仕事中に家事や子どもの世話をしてる」と、残業代なしと言われました。そもそも上司が夜の20時に「明日の朝までに」と資料作成を頼んでくるからなのですが、こんなこと許されるんですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月4日 4時40分

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在宅勤務では労働時間中に家事などの「中抜け」時間があるので残業手当は出ないもの、と考える人は少なくないようです。また、実労働時間にかかわらず、あらかじめ決められた時間分だけ働いたとみなす「事業場外みなし労働時間制」が適用されると思い込んでいる人もいるかもしれません。   実際は、勤務時間中に仕事から一時離席する「中抜け時間」の扱いには明確なルールがあります。「事業場外みなし」も適用余地は限られます。無理な業務指示を受けて長時間労働・深夜労働になるのは論外です。働く人の立場でどのように対応すべきか、検討してみましょう。

テレワークの労働時間の扱いについては明確なガイドラインがある

テレワークは事業場外での勤務のため、労働時間管理についてはさまざまな配慮が必要とされています。厚生労働省では明確なガイドラインを示し、分かりやすいパンフレットなども発行しています。これに基づいて、今回の問題を考えてみましょう。
 

テレワークでも労働時間管理は必須

まず、テレワークであっても、労働時間の管理は必須になっています。もっとも、オフィスの外で業務が行われるため、管理者が実際の現場を確認するのは難しいのですが、情報通信技術を活用すれば労働時間を管理することも可能と考えられています。例えば、パソコンの使用時間を記録するなどの客観的な方法で、始業および終業の時刻を確認できます。
 
さまざまな事情で、客観的に労働時間を管理できない場合には、従業員の自己申告も認められますが、従業員は適正な自己申告が必要です。また管理者側も自己申告制の適正な運用について、従業員にじゅうぶん説明するよう求められています。
 
従業員が自己申告した時間と、パソコンの使用時間などの客観的な記録の間に著しい相違がある場合には、労働時間の補正が必要です。例えば、申告された時間以外にメールを送信していた、長時間パソコンが起動していた記録がある、といった場合などです。
 
また、自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置は講じてはならないとされています。
 

中抜け時間の扱いについても明確に定められている

在宅勤務ならではの問題として、家事や子どもの世話など「中抜け時間をどのように扱うか」があります。これについても企業に対し次のようなやり方がガイドラインで示されています。

●会社側が適正に把握して休憩時間として扱い、終業時刻の繰り下げあるいは時間年休として扱う。
 
●特に中抜け時間を把握せず、始業および終業時刻の間の時間を、休憩時間を除いて労働時間として扱う。

 

長時間労働対策も定められている

テレワークの問題の一つに、業務の指示や報告がどの時間でも行われやすくなり、従業員の生活時間の確保に支障が生じかねない、ということがあります。そのため、会社側には時間外に業務の指示報告をメールで行うことを自粛する、といった対策が求められています。
 
また、当然のことですが、労働時間が深夜や休日にかかった場合は、それに応じた割増賃金が支払われます。なお、中抜け時間を管理できる勤怠管理システムも多数開発されており、すでに導入されているという会社もあるかもしれませんね。
 

管理者の勝手な思い込みでの間違った扱いは許されない

「中抜け時間があるから残業代なし」というのは、職場の上司の勝手な思い込みではないでしょうか。さらに所定の終業時刻を超えた遅い時間帯に緊急の業務指示を出せば、深夜業になるのは分かり切っています。長時間労働の抑制もできず、従業員の生活時間の確保の妨げにもなります。やむを得ずこのような指示を受ける場合には、深夜割増賃金となります。
 

「事業場外みなし労働時間制」の適用もほとんどない

在宅勤務における「事業場外みなし労働時間制」の適用についても、一言説明します。
 
この制度は、従業員が業務の全部または一部を事業場外で従事し、労働時間の算定が困難な場合に、事業場外労働について「特定の時間」を労働したとみなす制度です。テレワークについては、次の要件に該当する場合に事業場外みなしが適用されると定められています。

●「情報通信機器が常時通信可能とされていないこと」すなわち、従業員がいつでも回線を切断したり、応答のタイミングを自分でコントロールできたりすること。
 
●「随時使用者の具体的指示で仕事を行っていないこと」すなわち、使用者の指示が業務の目的、目標、期限などの基本的事項にとどまり、1日のスケジュール等は従業員が設定できること。

通常の在宅勤務については、会社とオンラインで常時接続されて、上司と連絡を取り合いながら業務を遂行するのが普通でしょう。「事業場外みなし」が適用されるのはよほど特殊な場合に限られると思われます。
 

従業員としては上司の上司、あるいは人事部に相談してみること

「在宅勤務では残業代なし」などの処遇があった場合には、黙って我慢するのではなく、上司の上司や、人事部などの本部関連部署にすぐ相談しましょう。現場の上司の勝手な思い込み、ということが少なくないのです。
 
問題があれば厚生労働省のガイドラインやガイドブックなどを参考に上司らに話し、それでも解決しないならば、総合労働相談コーナーや労働基準監督署など公的機関への相談を考えましょう。
 

出典

厚生労働省 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
厚生労働省 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインパンフレット
厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内
厚生労働省 全国労働基準監督署の所在案内
 
執筆者:玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

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