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マイルドヤンキーが中小企業の人手不足を救う

JIJICO 2014年12月29日 12時0分

マイルドヤンキーは「地元志向が強い」「家族・仲間が大好き」

マイルドヤンキーとは、1980年代に見られた「怖いヤンキー」とは少し違う、優しくマイルドなヤンキーのことです。「マイルドヤンキー」は、今年の流行語大賞にもノミネートされ、注目を集めました。

その特性や評価に関してはさまざまな見方がありますが、私は「地元志向が強い」「家族・仲間が大好き」という点が特徴的だと考えます。

今回は、この2つの特性を持ったマイルドヤンキーが、中小企業の人手不足解消の一役となるのではないか、という話です。

地元密着の中小企業は、マイルドヤンキー採用に有利

中小企業は、常に「ヒト」の問題で頭を抱えています。特に、「良い人材が採用できない」「そもそも応募がない」といった採用に関する悩みを持つ中小企業は多いのではないでしょうか。前述のように、マイルドヤンキーは、地元志向が強いという特性があります。地元密着の中小企業であれば、「地元に貢献」「地域一番店」といった持ち味を採用場面で存分にアピールすることは、マイルドヤンキーに特に効果が大きいといえます。

ただし、ここで注意すべきは、やはり採用は人物本位ですべきである、ということです。上記の例は応募の増やし方に関してですがが、それが即採用につながっては危険です。会社にとって、欲しい人材を見極める面接などは慎重に行いましょう。すべての労働トラブルは採用から始まることを忘れてはいけません。

マイルドヤンキーはアットホームな会社に親和性がある

次に、マイルドヤンキーの「家族・仲間が大好き」という特性については、中小企業の人材定着率と結びつけて考えることができます。中小企業の悩みで、採用と同じくらい深刻なのが、「人が定着しない」「すぐ辞めてしまう」ということ。マイルドヤンキーは家族・仲間意識が強いため、いわゆるアットホームな会社に親和性があると考えます。社長との距離が近い、経営者の顔が見える地元の中小企業は大企業に比べてアットホーム感を醸成しやすいでしょう。アットホーム感は、家族・仲間意識を育み、長く働きたい会社だと思ってもらえる効果があります。

逆に言うと、アットホーム感がないと、「この会社は自分を仲間として扱ってくれない」と言って、すぐに辞めてしまうかもしれません。そこまで面倒見ないといけないのか、という声も聞こえてきそうですが、マイルドヤンキーはそこまで手をかける必要があるのです。

しかし、反対に一旦会社を好きになってもらうと(仲間意識を持ってもらうと)、離職率が下がるという効果の他に、アナウンス効果も大きいといえます。「うちの会社はこんなに良い会社なんだよ」と言って、地元で生活する家族や友人、仲間に宣伝してくれるでしょう。

中小企業の採用や定着率の面で効果が期待できる

以上のように、マイルドヤンキーの特性を考えると、大企業よりも地元密着の中小企業の方が採用や定着率の面では効果が期待できそうです。そういう意味では、中小企業の人手不足解消の一役にはなるでしょう。

しかしながら、前述したように、会社としてそれだけ手をかけてやる価値ある人材かどうかは、採用の場面でしっかり評価を行う必要があることは、繰り返しになりますが言うまでもありません。

(三谷 文夫/社会保険労務士)

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