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偉大なトップ退任後、後継者が直面する経営問題

JIJICO 2015年1月29日 11時0分

通販大手会社が社長の退任と長男の社長就任を発表

通販大手の「ジャパネットたかた」は、高田明社長の退任と長男の高田旭人氏が社長に就任する人事を発表しました。高田明社長は1986年に、たかた(現:ジャパネットたかた)を設立し、自身がテレビの通販番組に出演する手法により一代で会社を成長させてきました。

一般的には経営者交代に伴い、「役員人事」「売上高の増減」「人事管理」「経営戦略」「社外評価」「金融機関評価」「危機管理」など、さまざまな問題の発生が想定されます。加えて前経営者が偉大であればあるほど、後継経営者にかかる解決へのプレッシャーが相当なものになることも課題として挙げられます。これらの問題は、「属人的な問題」と「経営管理上の問題」に大別することができます。

後継者を育成していても属人的な問題発生の可能性は残る

前経営者のマネジメントスタイルがワンマン経営ですべての物事をトップダウンで決めていたような場合、「属人的な問題」も「経営管理上の問題」も後継者の経営課題として浮上します。一方、前経営者が後継者を育て、計画的に社員育成に取り組んでいたとしても、後継者自身の組織全体を統括する力は未知数であり、「属人的な問題」が発生する可能性は残されたままです。

言い換えれば、「属人的な問題」とは後継経営者へのプレッシャーです。前経営者が後継経営者に口出しをする、しないにかかわらず、後継経営者の性格・価値観・実行力などによっては精神的に大きな負担となる場合があります。経営承継後の実績が想定通り推移すれば、そうしたプレッシャーは意欲を生み出し、新たなエネルギーの源泉になると考えられます。しかし、想定を下回れば焦りを生み出し、経営現場での新たなトラブルの発生源となるかもしれません。

前任者への意識よりも、後継者には将来への意欲が必要

ただ、経営環境は常に変化します。1年後の経営環境が前年の延長線上にないことも否定できず、経営者は創業経営者であれ後継経営者であれ、常に経営環境変化への対応を求められます。前経営者は過去の実績があるかもしれませんが、それは将来への実績を保証するものではありません。

新しい経営環境に新しい経営者が対処する際、過去の延長線上で発想するのではなく、現に経営責任を負っている自身の対応力で対処するしかありません。そうした割り切りができていて、自信を持って合理的な判断と実行力で対処することでプレッシャーに対応できるようになれば、後継者は新たな経営者としての立場を自ら作り上げていくことになります。前任者への意識よりも、将来への意欲がより良い結果をもたらす源泉となるのではないでしょうか。

(加藤 博幸/経営コンサルタント・中小企業診断士)

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