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今年の新入社員は「消せるボールペン型」 この風潮をどう思いますか?

JIJICO 2015年4月1日 10時0分

平成27年度の新入社員は「消せるボールペン型」

公益財団法人「日本生産性本部」では、毎年新入社員の特徴を物などに例えています。平成27年度については、柔軟性を持つが、厳しい指導には耐性が低い傾向にあるとして「消せるボールペン型」と名付けられました。

これは、どのような傾向なのでしょうか? 同本部では、今春の新入社員は現役生なら東日本大震災直後に大学に入学し、ボラティアなど状況の変化に対応してきた世代と分析。「見かけはありきたりなボールペンでも、書き直しができ、変化に対応できる」とした一方、消せるボールペンは高温下で文字が消えることになぞらえ、「上司が不用意に熱を入れる(熱血指導)と、色(個性)を失い、使い勝手の良さから酷使するとインクが切れてしまう(離職する)危険性をはらんでいる」と指摘しています。

高卒・短大卒で4割、大卒で3割が3年以内に離職

新卒就職者の離職率は過去10年分のデータを見ても、高卒・短大卒は約4割、大卒では約3割が入社3年以内に離職しています。離職理由のトップ3は1位が「労働時間・休日・休暇の条件が良くなかった」、続いて「人間関係が良くなかった」「仕事が自分に合わない」となっています。

そして、同本部が毎年6月に発表している新入社員「働くことの意識」調査では、「この会社でずっと働きたいか」への回答は、「定年まで勤めたい」が一昨年度38.8%、昨年30.8%、今年度28.8%と減少し続けています。

また「条件の良い会社があればさっさと移る方が得だ」といった回答は3割と、離職率に比例したものとなっています。一向に下がる気配のない離職率ですが、「労働時間・休日・休暇」に対しては、応募段階で実態に近い条件を会社側が明示することが重要でしょう。また「人間関係」「仕事内容」に関しても、一見すると新卒者の単なるわがままのようにも取れますが、1日の大半を過ごし、多くの人は60歳近くまで何らかの仕事をして収入を得るのですから、決して軽視できる理由でもありません。「社内に相談窓口を設ける」「上司に相談しやすい雰囲気作りをする」など、ひとりで抱え込ませず、風通しの良い職場環境の整備が求められているのです。

「何度でも書き直しができる柔軟性」を生かし活躍することを期待

上記のデータから見ると、確かに指導する側は「インク切れ」には気をつけなければならないのかもしれません。しかし、消せるボールペンはマイナス10度~20度で冷却すれば消した文字が復活します。簡単に消せないからこそ「色」(個性)なのではないでしょうか。

消せるボールペンは、2001年に国内販売が開始され、さまざまな進化を経る中で今や人気の筆記用具の仲間入りをしました。しかし、商品化までには30年もの年月がかかったそうで、日本が誇る高度な技術が結晶し誕生したのです。

平成27年度の新入社員も、20数年間の時代背景や社会情勢を感じ取って反映し誕生したのです。東日本大震災直後に、被災地でボランティア活動をする学生のニュースが連日報道され、日本の若者たちの頼もしさに感動しました。「便利だけど危ういボールペン」などと言わせず、「便利で頼もしいボールペンだった」と数年後に言われるよう、熱冷却のバランス良く奮起してほしいと思います。平成27年度新入社員のみんなが「何度でも書き直しができる柔軟性」を生かし、活躍することを期待しています。

(大東 恵子/社会保険労務士)

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