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更年期・介護で退職する第一線の女性たち、人財を守るために企業ができること

JIJICO 2015年10月7日 14時0分

第一線で働いてきた女性たちも「中高年」と言われる年齢に

男女雇用機会均等法施行から、今年で29年。バリバリの総合職として第一線で働いてきた女性たちも、いわゆる「中高年」と言われる年齢に差しかかっています。「中年女性はパワフルで元気」というイメージが一般的かもしれませんが、実はその多くが更年期の症状に悩まされながら働いています。

「更年期」とは、加齢による卵巣機能低下が原因で女性ホルモンが減少し心身に不調をきたすという、中高齢女性に多くみられる症状のことです。管理職など責任ある立場で活躍する彼女たちも例外ではなく、集中力および意欲の低下、倦怠感、ひどいときにはうつ的症状と闘いながら日々の業務にまい進しています。

更年期だけでなく親の介護と直面せざるを得ない年代

この世代の女性は、更年期だけでなく親の介護と直面せざるを得ない年代でもあります。自身の体調不良を抱えながら仕事をこなすだけでも精一杯なのに、親の面倒まで見なければならないとすれば、その負担は相当なもの。

しかし、当の女性自身が「評価に関わる」「なんとなく話しづらい」といった理由から多くを語らず、悩み苦しんだあげく昇格をあきらめたり、退職に追い込まれたりしているのが現状です。

多大な時間とお金、労力をつぎ込んで育てた女性管理職を失うことは、企業にとっても大きな損失です。さらに少子高齢化を迎え、今後ますます労働力が不足するわが国の現状をかんがみても、女性にできる限り長く働いてもらわなければ、事業の発展どころか継続すら難しくなるでしょう。

女性の置かれた環境への理解を深めるために社員の教育研修を

このような状況を改善するためには、まず社内において自身の更年期症状や、親の介護の状況などについて話しやすい雰囲気を作り、情報の共有を図る必要があります。そうすることで、女性たちの置かれた環境への理解が深まるだけでなく、適切なサポートにより、勤務の継続が可能になるでしょう。

全社員を対象に、女性の加齢による心身の変化に関する教育研修を行い、正しい知識を得てもらうのも大切なことです。中小企業などにおいて、単独での研修開催が難しい場合には、商工会などを通じて外部の専門家を招き勉強会を開催するなど、地域ぐるみで問題解決に取り組んでもよいでしょう。

休みを取りやすくするためには就業規則の見直しも必要

また、こうした状況にある社員がもっと休みを取りやすくするために、就業規則の「生理休暇」や「介護休暇」に加え、「更年期休暇」を設けるという方法もあります(名称については、ストレートすぎて抵抗があるかもしれないので一考の余地はありますが)。

近年、イクメンの登場や政府の方針もあり、妊娠、出産後の女性の就業に関しては企業も柔軟に対応するようになってきました。そんな彼女たちもいずれ妙齢となり、更年期との付き合いが始まります。貴重な人財を、対応の遅れによってみすみす失うことのないよう、長期的視点を持ってしっかりとサポートしていきたいものです。

(五井 淳子/社会保険労務士)

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