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2割もの女性アスリートが疲労骨折に悩むワケ

JIJICO 2015年11月9日 13時0分

女性選手2割が疲労骨折を経験

全国大会に出場するなど、本格的に運動に取り組む女性選手の約2割が疲労骨折を経験していることが、日本産科婦人科学会などの調査で判明しました。特に中長距離や競歩など、持久力を必要とする陸上競技では約半数に疲労骨折の経験があり、無月経の割合も高かったといいます。そこで、今回は女性選手に疲労骨折が多い原因と予防策を考えていきます。

無月経による骨粗鬆症が原因の一つ

原因の一つには無月経による骨粗鬆症が考えられます。無月経とは、性成熟期を迎えた女性にも関わらず、月経が訪れない状態を指します。無月経が発生する主な理由として、「利用可能エネルギー不足」「精神的・身体的ストレス」「体重・体脂肪の減少」などが考えられます。

無月経になると、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが少なくなります。エストロゲンは骨代謝にも関係しており、低下すれば骨密度が減ってしまうため、骨粗鬆症になりやすい状態となります。思春期女子では、11~14歳に骨密度の年間増加率が最も大きく、20歳頃に骨量のピークを迎えるため、思春期の骨形成時に十分なカルシウムの摂取、適切な運動負荷、順調な月経(正常なエストロゲンの分泌)があれば、高い最大骨量を獲得できます。従って、多くのアスリートが競技生活を送る思春期から20代において月経異常などにより骨量が低下することで、疲労骨折が発症する危険性は高まります。また、疲労骨折だけでなく、女性ホルモンが少ない無月経という状態で競技を続けていれば、子宮も委縮して将来的には排卵障害や不妊症などの原因ともなり得ます。

女性選手における疲労骨折の予防知識

前述のように、正常な周期の月経を維持することが疲労骨折の予防には必要ですが、そのために以下の点に注意し、早期に対応することが求められます。

1)利用可能エネルギー不足
運動によるエネルギー消費量に対して、食事などによるエネルギー摂取量が不足した状態を指します。この状態が続けば、初経発来の遅延や無月経などを引き起こす可能性が高まります。日常的な食生活において、バランスのとれた食事を心がけることや、運動によるエネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量の維持を心がけるなど、家族や周囲のサポートが必要です。

2)精神的・身体的ストレス
思春期における過度のトレーニングなどは、初経発来の遅延や無月経などを引き起こす可能性が高いため、指導者は適切なトレーニング強度・頻度を選択しなくてはいけません。また、チームメイトや家庭環境などの精神的ストレスも起因になり得るので、十分な注意が必要です。

3)体重・体脂肪の減少
思春期における極端な体重制限なども同様に、初経発来の遅延や無月経などを引き起こします。骨密度、筋バランス、体脂肪率などのデータ測定や月経の有無や食事の内容などを把握するアンケートなどを定期的に行い、把握するようにしましょう。

(花岡 正敬/理学療法士・柔道整復師)

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