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英語の発音Let it go はレリゴーで正しいの?

JIJICO 2017年6月17日 9時0分

Let it go の本当の意味は?

「アナと雪の女王」の主題歌「Let it go」ですが、松たかこさんの素晴らしい歌で(私も大好きです!)日本でも大ヒットを記録しました。
そして、Let it goの意味を「ありのままで」とそのまま覚えてしまった方も多いと思うのですが、もともとの意味は少し違います。
これを訳された方は、これが歌われる場面のエルサの口に合うように、かつ歌全体の意味をうまーく盛り込んで、まことに素晴らしい日本語の歌詞になさったと思います。
ほんと、名訳だと思うんですよね。
ただ、Let it go の意味自体は、(つかんでいるit を)解き放て、放してしまえ
→(失敗、過去などを)忘れてしまえ、もうあきらめろ  ということになります。
何か大きな悩みがある人、ふんぎれない思いを抱えている人に言う時に使われるフレーズです。

You should let it go. (もういいじゃない、あきらめなさい)
アナ雪の場合は、エルサがずっと胸に抱えていたこと、思い悩んでいたことを「もういいじゃない!思いわずらうのはやめにして!」という意味になりますし、彼女がずっと隠してきた強大な力を「解き放て!」という意味にもなります。
英語版のイディナ・メンゼルがものすごく力強くLet it go と歌うのはそういう意味を込めているからなんですね。

そんなことを思っていたら、同じセリフを他の映画で見つけました。
つい最近見なおした「ロードオブザリングズ 王の帰還」の最後の方で、つらい旅路の果てにいよいよ主人公フロドが指輪を滅びの山の火の中に投げ込もうとします。
しかし、どうしても指輪の魔力に抗しきれず、投げ込まずにそれを我が物にしてしまおうかと激しく逡巡する場面で、従僕のサムがフロドに向かってこう叫びます。
What are you waiting for? Just let it go!
字幕は「なぜ迷うんです?投げこんで下さい!」でしたが、これなども「(つかんでいる指輪を)放してしまえ」という意味と、「もういいよ、(執着を)あきらめて!」という二つの意味があるなあ、と思いながら観ました。

Let it go はレリゴーで正しいの?

答えを先に言ってしまえば「日本語のリに近いけどちょっと違うし、リとゴの間にためがあるからレリゴーでは正しくない」です。
Let it go を 発音記号で書くと
[le?i gou]
この一文に発音の音声変化の大事なルールが二つあります。
tの弾音化とtの脱落です。ちょっと専門的な話しになりますが、お付き合いくださいね。

①tの弾音化
Let it go [le?i gou]
[?]は t が弾音化した音で、舌端で歯茎を軽くはじく音で、私の歌のお師匠様(アメリカ英語話者)は むしろ d に近い音だとおっしゃいます。
tがこのはじく音になるのは、母音+t+母音 の時で、water や better や at all などたくさん例があります。
t の弾音化(dも同様)は、リラックスして普通のスピードで話すと、その方が言いやすいからそう発音されるのだそうです。英語は全部の音を出すわけではない、省エネなんですね。
アメリカ英語でよく聞かれ、イギリスではあまり聞かれないとも言われますが、イギリス人であるビートルズの Let it be は弾音化していますよね。
でも、映画のHarry Potter は 弾音化せず、t の発音ですね~。(アメリカ人が発音すると弾音化してます。)

② 破裂音の連続によるtの脱落
破裂音とは[p,b,t,d,k,g]の音ですが、 Let it go のtという破裂音とg という破裂音が連続しているので,前のtが脱落して 声門がウッとつまった音(というか間)になります(声門閉鎖音)。ちょっとためをつくる感じです。
お師匠様は圧をかける感じと表現しました。
だから決してカタカナの「レリゴー」ではないのですね。
あえてカタカナ表記をすると「レディッ ゴゥ」が一番近いでしょうか。
Let it be も同じで、破裂音が連続しているので、前のtが脱落して、ためを作って次の音bになります。(「レディッ ビー」が一番近い。)

この2つのルール①tとdの弾音化と②破裂音の連続で前の破裂音が脱落するを自分のものにすると、歌も歌いやすいし、口も耳も楽になることうけ合いです!

ただ、気を付けていただきたいことが一つだけ。
気持ちよく「レリゴ~、レリゴ~」とうたっている人に「それ、発音ちょっと違うよ」などと決して言ってはいけません。正しい発音を習得する前に、人間関係が壊れますから!

(阿久澤 淳子/英語発音トレーナー)

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