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伊香保温泉旅館協同組合が従業員のための託児所開設。人手不足に悩まない職場環境を作るには?

JIJICO 2018年3月22日 7時30分

伊香保温泉旅館協同組合が従業員のための託児所開設を発表

伊香保温泉旅館協同組合はこのたび、夜間に従業員が子供を預けられる託児所を温泉街近くに開設すると発表しました。

旅館やホテルの従業員の子育て支援策として、群馬県の伊香保温泉旅館協同組合が温泉街近くで夜間託児所を3月に開設すると発表したとのことです。宴会や配膳など夜間の仕事に従事するスタッフが安心して取り組める環境をつくり、人材確保とサービスの質の維持を図るという意図があるようです。

組合は、「伊香保をはじめとする県内温泉地は人手不足が深刻で、繁忙期に予約をキャンセルせざるを得ない宿泊施設がある。従業員にかかる負担が過大なため、サービスの質の低下が懸念されるほか、子育てするために退職する従業員が課題になっている。」

「働く場として旅館のイメージを向上したい。退職した人が託児所を利用して、繁忙期にスポット的に復職することも期待している」としている。
(2018年2月14日付上毛新聞サイトより抜粋・一部改変)

人手不足が深刻化。働く側のニーズに合わせた労働環境の整備が重要に

上記の伊香保のような温泉地に限らず、全国的に人手不足が深刻な問題となっています。
帝国データバンクが行なった「人手不足に対する動向調査(2018年1月)」によると、正社員が不足している企業は51%となっており、1年前と比べて7.2ポイントの上昇を見せているそうです。

こうした状況の中で従業員を確保するためには、働く側のニーズに合わせた労働環境の整備が必要です。そのためにはまず、「働いてほしい人や働きたい人が活躍できない原因は何か」を、改めて考えなければなりません。

例えば「フルタイム勤務と長時間の残業ができる人」だけを人材だと考えている場合、子育てや介護で働ける時間に限りがある方は、やる気があっても働くことができません。その仕事が、本当に長時間労働でなければできないのかを精査してみましょう。

その上で、労働時間や労働日数を減らす、各人が働く時間帯を選べるようにする、テレワークをはじめとする在宅勤務制度を導入するなど、多様な働き方を認めることで、これまで活用しきれていなかった方々を、人材として確保できるのです。

安心して働くための柔軟な対応や運用がカギ

また、「この仕事は男性でなければ」「高齢者だからこれは無理」など、固定観念に縛られない柔軟な発想も重要です。こうした考え方にとらわれていては、せっかく労働意欲の高い人材がいたとしても、みすみす見逃してしまうことにもなりかねません。

いわゆる「男の職場」に女性が入ってくるなど、これまでの常識や慣習が通用しない人たちと一緒に働くことで、当初は問題が起こるかもしれません。しかし、教育研修を徹底したり、仕事のやり方を工夫する、設備や制度を改良・変更するなどの柔軟な対応で、トラブルも解決するでしょう。異なる感性に触れることで、一面的だったものの見方が変り、新しい発見やより良いサービスの提供が実現する可能性もあります。

そして、忘れてはならないのが、「安心して働ける職場」の実現です。給与の多寡や人間関係など、従業員が気に掛けるポイントは多々ありますが、社会保険への加入などの「安心して働くための制度」を整備することは、人材確保のうえでは欠かせないものです。

「保険料負担が重い」と嘆く事業主も多いのですが、せっかく採用、教育した従業員が短期間で辞めてしまう場合のコスト(何度も求人を出したり、繰り返し教育する労力など)を考えると、それほど高い投資ではないと思います。

とはいえ、「自分たちだけではどうしたらいいのか分からない」という経営者のために中小企業庁では、「人手不足対応100事例」などで、様々な工夫でこの人材難を乗り切っている企業を紹介しています。こうした事例を参考にしながら、是非自社にあった対策を考えてみてください。

(五井 淳子/社会保険労務士)

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