Infoseek 楽天

夫の不倫相手に会って驚き。「あなたならいいわ」と39歳妻が許した理由/結婚人気記事BEST

女子SPA! 2024年3月11日 15時47分

 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年3月19日 記事は取材時の状況)

==========

 キャッチコピーは「夫婦円満の秘訣は、恋人がいることでした」――wowowのドラマ『それを愛とまちがえるから』(3月16日最終話放送)が、なかなか興味深かった。

 子どものいない夫婦が、それぞれに不倫をしているのだが、妻は夫の相手を知って「よかった」と言うのである。それは妻がかかっている女性整体師で、その腕を信用して夫を紹介したのも妻なのだ。妻が彼女の人間性を信頼していたのだろう、ふたりの関係を知った妻は「彼女が相手でよかった」と言う。

 実際にそんなことがあるわけはないと思われがちだが、世の中は狭いようで広い。こういう関係も実在する。

◆彼女なら安心して夫を託せると思った妻

 アオイさん(仮名・39歳)が2歳年上の夫の不倫に気づいたのは、2年前。結婚して8年たったころだった。アオイさん夫婦には子どもがいない。不妊治療を試みたこともあるが、経済的時間的に負担が大きすぎるためやめた。夫婦と猫2匹の暮らしに満足していたという。

「それでも子どもを育てるという夫婦共通の目的がなくなったせいか、なんとなく関係はマンネリ化していました。お互い仕事をしているのですれ違いもあったし」

 夫の仕事は派遣会社でのコーディネート。そこへ相談に来たのがカナさんという女性だったのだが、彼女はアオイさんの中学時代の同級生だったのだ。

「夫もカナも、もちろんそんなことには気づかなかった。カナの仕事の相談に乗っているうち、彼女に惹かれていったそうです」

 カナさんはバツイチで病身の母親とふたり暮らし。夫は同情して親身になっていたようだ。

「最近、なんだかヘンだよねと夫に言ったとき、夫がいきなり涙目になって。問いつめたらあっさり白状しました。半年前からそういう関係だと」

 自分がバカにされたような気がして、アオイさんはもちろん怒った。相手の名前と連絡先を夫から聞き出したとき、かすかに名前に記憶があったが、あまりにもよくある名前なのでそれほど気にしていなかった。

◆夫の不倫相手は、中学時代の恩人だった

「彼女に連絡して会う算段をつけて。怒鳴りつけてやろうかどうしようかと迷っていると、やって来たのはカナ。本人を見たら、すぐに記憶がよみがえりました」

 中学時代、アオイさんは一時期、ひどいいじめにあっていた。そのとき声をかけてくれたのがカナさんだったのだ。彼女にとっては「恩人」である。顔を忘れるわけがない。

「カナちゃんだったんだ、夫の不倫相手と私が言ったら、彼女は卒倒しそうなほど驚いていました。『どう言ったらいいか』『お詫びのしようもない』とうなだれる彼女に、私は『カナちゃんならいいよ』と言ってしまったんです。理屈じゃなく、そう思って、口から言葉が出てしまった」

 いいよと言われてもカナさんも戸惑うしかない。その日はいったん別れたが、帰宅した夫にアオイさんは言った。

「カナちゃんとなら一緒になってもいいよ」

 そういえばカナちゃんは、いじめる子たちに食ってかかってくれたこともあった。そして最終的には、彼女が同じクラスの不良っぽい子たちを巻き込んでいじめる子たちと対決しようとしてくれたのだ。それは教師や学校の知るところとなり、アオイさんはいじめから解放された。

 その後、カナさんは親の都合で引っ越していったのだが、あとから聞いたら親の離婚だったという。

◆「彼女ならいいよ」と夫に伝えたら、とんでもない反応が

「それからずっとカナちゃんは、母ひとり子ひとりでがんばってきたらしい。そういう状態なら、彼女が夫と不倫をしてもいいんじゃないか、ふたりが結婚したいなら、それも考えてもいいと思うようになっていったんです」

 夫にその話をすると、夫の顔色が変わった。

「アオイは僕なんかもういらないのか」

 いらないわけではない。彼女に惹かれたのはあなたでしょとアオイさんは言い返した。

「カナちゃんには悪いけど、一生一緒に暮らす相手ではないと夫が言ったんですよ。それならああいう女性に手を出すなと私は夫をグーで殴ってしまいました。今思えば、夫の優しさがカナちゃんに向いただけなんでしょうけど、責任をもてないなら最初から関係を持つなと言いたかった」

◆話し合いを重ねた結果

 半年ほど夫と話し合った。カナさんと3人で会ったこともある。ただ、最後にはカナさんが言った。

「私は母親を抱えて結婚はできない。もとはといえば悪いのは私」

 それから1年、アオイさんとカナさんの友情は続いている。最初は逃げていた夫も、今では家にカナさんが来ることを歓迎するようになった。

「夫とカナちゃんが男と女の関係だったんだなと思うと、たまに複雑な気分にはなります。でも、それ以上に私はカナちゃんとのつきあいを切りたくない。夫にはたまにチクチク言ってますけどね」

 アオイさんは口角を上げてニコッと笑った。大人の女性らしい、何もかも呑み込んだような表情だった。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

この記事の関連ニュース